ブルワーおすすめのぺリング vol.1
~沼津クラフト~
ブルワーの“テッパン”ペアリング
現在、日本全国から100以上の銘柄を皆さまにお届けしているDREAMBEERですが、今回から、ビールをつくる醸造家(ブルワー)の方々に、ご自身がつくったビールと合わせる料理を伺い、ご紹介させていただきます。第1回目は、新進気鋭のブルワーとして注目を集める、柿田川ブリューイング/沼津クラフトの片岡哲也さんです。
柿田川ブリューイング/沼津クラフト
「沼津クラフト」をリリースする柿田川ブリューイングの代表、片岡哲也さんは、留学したブライトンでビールに出合い、それを生業にすることを決心する。帰国し学校を卒業すると、同じ静岡県にある老舗クラフトブルワリーの門を叩いた。そうしてビールづくりの実践を積み、2016年に満を持しての独立を果たす。選んだ地は「東洋一の湧水」と誉れ高き柿田川湧水群。同湧水には100gあたり約1.40mgの豊富なカルシウムの他、ナトリウムも約0.94mg含まれており、硬度の平均は1リットルあたり48.0mg~61.0mgという軟水。この名水を存分に使い、自分のビールを極めることを決意した。
「やはり、自分の想い描いた通りにビールをつくりたいですからね」
その言葉通り、沼津クラフトのビールは独創的だ。その代表が、フラッグシップの「クリームラガー」(アメリカンライトラガー)だ。一般的にラガービールは「コク」や「キレ」を謳うが、クリームラガーは小麦を使うことによって非常に滑らかな、柔らかい口当たりに仕上げている。口当たりは柔らかいが、ほどよいホップの香りと苦味、キリっと芯の通ったボディ感は、まごうことなきラガービールである。こうした、これまでの常識にとらわれないビールとの出合いがあるから、クラフトビールの旅はやめられない。
さて、このクリームラガーに合せる料理(ペアリング)として片岡さんが推してくれたのが「干物」だ。うむうむ、沼津は“干物の聖地”だった。日本近海では2千数の魚種が確認されているそうだが、その半数が生息していると言われる幸豊かな駿河湾に面していることに加え、年間を通して温暖の気候、そして富士山から吹き降ろされる適度に乾燥した風等、おいしい干物をつくる条件がそろっているのだ。 「沼津の干物はなんでもおいしいですが、ぼくの好みは鯖ですね」と片岡さん。なるほど、ほどよく脂の乗ったサバの、パリッと焼けた皮の香ばしさがクリームラガーから立ち上がるモルトの風味と響き合い、身の旨味を優しい口当たりが包み込む。なるほど、テッパンのペアリングだ。ぜひ、ご自身でお確かめいただきたい。
片岡哲也さんのおすすめ干物屋さん
「ここの干物は天日干しで丁寧な仕事をしていて美味しいですよ。秋田の実家に干物送る時もたまに利用させて頂いています」(片岡さん)