グラスについて覚えておきたいこと
ビール王国27号より転載
ビールをおいしく飲むために欠かせないもの、それはグラスである。宅飲みを最大限楽しむためにも、ビールの味や香りを大きく左右するグラスにちょっとばかり、気を使っていただきたい。
ここでは、グラス自体のパフォーマスを引き出すために、いくつか覚えておきたいことを注記したい。
グラスを使おう
缶やボトルに口をつけて飲むよりも、グラスに注いで飲むほうがよりビールの味や香りが楽しめる。その意味で、ビールにグラスを使うことはマストであると言い切れる。透明なグラスであれば、ゴールド、赤、オレンジ、黒などビールのカラーも見えてなお良い。グラスにも様々な種類があり、形や厚さで香りや味の感じ方が変わってくる。
三度注ぎ
グラスにビールを注ぐ際にひと工夫することで、さらにビールがおいしくなる。ビールのスタイルにもよるが、日本で一般的なピルスナースタイルのビールに適した注ぎ方がこの「三度注ぎ」だ。適度に炭酸が抜けてまろやかな口当たりになり、泡もしっかりとしたものができ上がる。ぜひ覚えておきたい注ぎ方だ。
そのグラス、汚れていませんか
グラスを取り出してビールを注ぐ前に、ちょっと確認したいことがある。グラスに付着した汚れがないかどうかだ。目には見えにくいが、グラスの内側にわずかな脂(油)やほこりが付着していたりすることはよくある。そうしたグラスにビールを注ぐと、写真1のように細かい気泡がへばりついて見える。見た目が美しくないばかりか、味や香りを感じにくくさせてしまうので、注ぐ前にチェックし、必要であれば一度洗ってから使用しよう。また、飲み終えてグラスを洗った後、自然乾燥にまかせていると写真2 のように「ウロコ滲み」と呼ばれるカルキの跡が残ってしまうことも。自宅の場合面倒でも水滴をクロス(ケバの出ないもの)で拭き取ることがグラスをキレイに保つ秘訣だ。
宅飲みで揃えておきたいグラス
1. パイントグラス
ビアバーでよく使われるイメージのあるパイントグラスは、店で飲んでいる気分になれるグラスだ。厚手で割れにくく、適度な重さで持ちやすいところが家でも安全に使えるポイント。また、逆円錐状の形をしており、飲み口が広がっていることで、華やかな香りが感じ取りやすい。US パイントは473ml(16oz)、US ハーフパイントは236ml(12oz)とふたつの容量のグラスがあるので、お好みでどうぞ。
2. チューリップグラス
ふくらんだ形のおかげで、香りがグラスの中にこもってから広がるため、ビールの繊細なアロマを引き出してくれる。シュピゲラウの「チューリップ」や、ビアバーやブルワリー御用達のドイツのグラスメーカー、ザムの「センゾリック」などがおすすめだ。パイントグラスと分けて注ぎ、飲み比べてみると、同じビールなのに味や香りの感じ方が、まったく違うことに気づくだろう。
3. 同じ形の小さいグラス
ビア友と自宅でたくさんのビールを開けて楽しむパーティーをする際など、たくさんのグラスが必要になる。そんなときには、容量が小さくて、香りを感じ取れるグラスを何脚か用意しておくと便利だ。ワインのテイスティング用に国際規格で定められた通称「INAO グラス」などは、安価かつ入手が簡単、万能ではないもののしっかり香りも判別できるのでおすすめだ。
4. 専用グラスやお好みのグラス
IPA やウィートビール、バレルエイジ専用グラスなど、シュピゲラウがブルワリーと共同で開発した「スタイル専用のグラス」は、そのスタイルが好きな方に。また、松徳硝子の「うすはり」は、グラスの薄さでこんなに味が変わるのかと驚く。このように、専用グラスや自分の好きなグラスを使うと、ビアライフがさらに楽しくなる。ベルギービールの専用グラスやイギリスのノニックパイントグラスなども。