クラフトビールを学ぶ旅 vol.03
~Vector Brewing~

クラフトビール専門誌「TRANSPORTER」より転載

全国の気になるクラフトビール醸造所を巡り、その魅力や驚きをリポートします

Vector Brewing

 東京浅草橋。江戸幕府が出来てから幕府が土地の開発を進め、日光・奥州・水戸の諸街道への重要な拠点として江戸城の外張りとして「浅草見附門」を設置。浅草見附門はこの場所の象徴である「浅草見附御門の橋」から「浅草橋」と名付けられた、というのが有力な説。現代とは違って江戸時代では、陸路よりも水路が重要視され、江戸幕府にとって重要だった米や諸国の産物の大量輸送は、神田川などを使い船で行なわれていた。それにより、多くの米や産物が集められるようになり、お店が数多く並び現代の浅草橋は老舗のお店や問屋などの商い地域でもある、そんな歴史のある街にクラフトビールの醸造所がある。それが『VectorBrewing』である。


 醸造長である木水さんはサンクトガーレンで2年間ブルワーとして働き、自分でレシピを書いて醸造したいなと思っている中、現在の会社ライナがBrewpubを始めるタイミングがありこれだと思い入社したのが2013年。新宿御苑に店舗を構える『VectorBeerFactory』その1年後にはあまりの人気にビールが足りなくなり、ビールの醸造のみを行う為、浅草橋に新工場『VectorBrewing』にて醸造開始。Brewpubで働いていた当時からあまりスタイルにはこだわらず、好きなものを常に造っていて仕事を楽しんでいるという。そのクラフトの自由さとこだわりが全て詰まっている言葉から木水さんの柔らかな雰囲気から感じられる職人の情熱感がひしひしと感じられた。こだわりのビールは毎月作られていて定番は6種類、限定を2種類作り、年間30種類以上作っていて、常に新しいものにチャレンジをし良いモノを生み出したい。


 おすすめはストラータホップを使ったHazy IPA『トムキャット』。苦味がありフルーティーな味わいでいて香りはトロピカルフルーツを連想させる。試飲して苦味がネコパンチぐらいだよねという話から生まれたシトラを使ったウィートエール『ねこぱんち』。トムキャット、ねこぱんちのどちらもDREAMBEERで飲むことができます。VectorBrewingで人気の看板商品とも言える、このビールが家庭内で飲めるということは東京のTaproomに行けない人たちにとっては朗報だ。瓶ビールではなく生ビールとして飲めばTaproomで飲んでいる雰囲気も味わえる。


 木水さんは言う『ドリームビアからVector Brewingを知っていただくお客様も多い』。家庭内でTapを傾けてハンドルのラベルを見ながらビールを注ぐなんて最高じゃないですか!是非Taproomで飲む雰囲気を味わってほしい。

ビールを造っている人

木水 朋也
( きみず ともや)
酒屋さんで働いたのち、クラフトビールに興味を持ちサンクトガーレン有限会社にてブルワーとして勤務後、Vector Brewingの立ち上げから醸造長(ヘッドブルワー)に就任。
趣味は大好きなイングリッシュビターを飲むこと。

  ねこぱんち

  TOMCAT HAZY IPA

 しろねこぱんち

訪れた場所

Vector Brewing
〒111-0053 東京都台東区浅草橋4丁目7-3
TEL: 03-5809-1821