ローカルビールに会いにゆく
~CHORYO Craft Beer~

ビール王国39号から転載

ものづくりの町の新スポット
長龍ブリューパーク

 大阪からJR大和路線で王寺駅へ、近鉄田原本線に乗り換える。3両編成の電車からローカルな景色を眺めていると、徐々に肩の力が抜け、気持ちが休みモードに。箸尾駅で下車し、古い町並みを8分ほど歩くと長龍酒造の本社広陵蔵があり、さらに進むと大きく開けた芝生の広場と建物に圧倒される。2022年にオープンした長龍ブリューパークである。

1階のタップルームに併設されたショップでは、日本酒、ビール以外に焼酎や梅酒、グッズなどが販売されている

 長龍酒造は1963年創業の酒造メーカーであり、2021年にCHORYO Craft Beerを立ち上げた。ヘッドブルワーはCOEDOブルワリーで醸造を担当した後、海外のホップ畑で働き、ワイナリーやブルワリーを訪ね、多くのことを吸収して帰ってきた樋代卓矢さん。CHORYO Craft Beerが目指すのは、「いつもの毎日」や「特別な日」に寄り添い、一度飲むと忘れられない「もう一度、飲みたいビール」。唯一の定番ビールとして造り続けられているライスラガーがそれを体現している。奈良県産のお米のやさしい甘みにスッキリさが共存していて、「もう1杯!」とお代わりしたくなる。

タップルームではオリジナルビールが7種類。何を飲むか迷ったら4種の飲み比べセットも
クラフトビールチームの川村真以さん。明るい笑顔にこちらも思わず笑顔になる

 「長龍酒造のすべてを知ってもらえる場所ができました」と、クラフトビールチームの川村真以さん。1階のタップルームには日本酒が3タップ、ビールは7タップが常設されている。興味深いのは、ビールのテストバッジが飲めること。造り手は飲み手の反応を直接知ることができ、飲み手は商品化前のビールに特別さを感じることができる。フードは持ち込みも可能で、2階の飲食スペースや芝生の上で楽しむことができるのも魅力だ。

この日は芝生エリアでヨガイベントが開催されていた。ヨガの後は、インストラクターと参加者でお楽しみのビールタイム

 2022年11月、長龍ブリューパークにてKORYO CRAFT FESが開催された。靴下の生産量が日本一で「ものづくりの町」として知られる広陵町に実際に来てもらい、その魅力に触れてもらおうというイベントだ。初の試みだったが、県内・県外から多くの人が訪れた。今後も継続して開催される予定だ。「ビールを飲まない方もテーマパークの感覚で来てくださっています。今後も様々なイベントを社員で企画していますので、ぜひ遊びに来てくださいね」と川村さんが楽しそうに話をしてくれた。
 春になると高田川沿いが一面桜で埋め尽くされる。ぜひ一度、ビールを飲みながら最高の景色を味わって欲しい。

近鉄田原本線は、2023年4月22日からサイクルトレインとして、自転車の持ち込みができるようになった

長龍ブリューパーク

奈良県北葛城郡広陵町南7-1
☎平日 0745-56-2026 (長龍酒造直通)
土日祝 0745-43-6203 (ブリューパーク直通)
営/土日祝 11:00 ~ 17:00
※タップループの営業は土日祝のみ、平日は芝生エリアのみ開放
【アクセス】
近鉄箸尾駅から徒歩8分
※コロナの影響で営業時間や形態が変更になる場合があります。
 HP等で最新の情報をご確認ください。

■ ライタープロフィール
あだち めぐみ
京都府出身、大阪市在住の会社員ビアライター。大阪とホップの香りが大好き。関西のビールを飲み尽くすべく計画中