新規参画インタビュー vol.14
~NAT.BREW~

現在、日本全国から200以上の銘柄を皆様にお届けしているDREAMBEER。その中でもひときわ輝くブルワリーの成り立ちや、DREAMBEERで新たに扱い始めたビールのご紹介をします。第14回は、富山県南砺市の「NAT.BREW」です。

普通のビールは造らない! 個性ある味わいを追求中。NAT.BREW

 富山県南砺市で土建業を営む藤井公嗣さんと、ワインの醸造家だった望月俊祐さんが出会い、「NAT・BREW」は生まれた。2022年のことだ。
 コンセプトは地域に根差した、南砺市だからこそできるクラフトビール造り。常に、香り、味わい、液色等、どこかに個性が感じられる仕上がりを目指している。
「私は元々山梨県でワインを造っていたのですが、妻の故郷である南砺市に移り住んだことで、藤井さんと縁ができました。クラフトビールで地元を活性化したいという目標に、私の知識や経験が役に立てばと考えています」と望月さん。元々、自分の醸造所を持つことが夢だったそうだが、まさか南砺市で、しかもワイナリーではなくブルワリーという形で叶うとは思っていなかったと微笑む。
「支えてくれる家族がいて、求めてくれる地域があって、こうして酒造りを続けられていることに幸せを感じています。独特の感性を持つアイデアマンの藤井さんと力を合わせ、南砺市を盛り上げていきたいです」

アメリカのポートランドでクラフトビールの魅力に心を奪われたという藤井さん(写真左)と、山梨県でワイン造りを追求していた望月さん(写真右)の出会いから、「NAT.BREW」は始まった。ブルワリー名の「Nat(ナット)」は、その土地の・ありのままの・自然のという意味を持つ「Native(ネイティブ)」に由来している

地域とのつながりが強くなっていく実感が嬉しい

 日本最大級のビール品評会「ジャパン・グレートビア・アワーズ2024」で、DREAMBEERでも提供中の「KUMA MASSIGURA(クママッシグラ)」が最高賞を受賞した(エマージング・インディア・ペールエールスタイルのケグ部門にて)。
 創業してまだ2年弱の若いブルワリーの快挙に、驚いたビアファンは多かったに違いない。
「南砺市の特産品である干し柿を活かした、とろみのある口当たりとほのかな甘味が特徴の私たちのフラッグシップなのですが、クラフトビール文化がまだ根付いていない地元では、最初はなかなか受け入れて貰えませんでした。けれども地道に扱って貰えるよう飲食店に働きかけたり、イベントを開催するなど知って貰う機会を設けたりしているうちに、飲んでくださる方がどんどん増えていきました。今では一番の売れ筋銘柄となっており、しかも最高賞までいただけるという――。何よりも嬉しく思っているのが、干し柿農家さんたちが喜んでくださっていることです。地域とのつながりが強くなっていく実感が、ますますビール造りを楽しくさせてくれています」

 望月さんが「こちらもぜひ」とすすめてくれた銘柄がある。
「HEYHEYHOO(ヘイヘイホー)」だ(DREAMBEERに提供中)。
「南砺市利賀村で自生しているクロモジを副原料として使っています。林業に携わっている方々に協力して貰って、細い若枝を入手し、乾燥させてお茶にしてから活用しています。試行錯誤を繰り返す中で、標高が高い場所に自生しているクロモジほど、よい香りを得られることが分かりました。私たちにしか生み出せない味わいを追求していますので、楽しんでみてください」

地元の人々とのつながりを大切にしながら、一緒に魅力的なクラフトビール造りを追求中。左は「KUMA MASSIGURA」の副原料である干し柿、右は「HEYHEYHOO」の副原料であるクロモジ(その上品な香りゆえ、高級楊枝の原料としても使われる)

酒造りは「楽しさ」の中にあるべきもの

 望月さんには、山梨県でワイン造りをしていた時代に、師匠たちに掛けて貰って以来、ずっと大切にしている言葉がある。
「『仕事は楽しく』です。大人になると一日の多くの時間を仕事に費やすことになります。だからできるだけ自分が楽しいと思えることをしなさい。楽しくないと思った醸造はたいていうまくいかないぞという教えでした。私自身だけではなく、関わってくださる人すべてが『楽しい』と思えることにどんどんチャレンジしていきたいと考えています」
「普通のビールは造らない」「流行りには流されない」と決めているとのこと。常に他ジャンル(日本酒やワイン等)にもヒントを得ながら、自由で遊び心のある独自性の強いビール造りを心から楽しみたい、今も実はワクワクしていることがあると笑顔を見せる。
「南砺市は全国有数の木材加工技術を持つ街でもあります。木樽を活用したビール造りにも今後は取り組んでいく予定です。どのような味わいを生み出すことができるか、とても楽しみです」

「NAT.BREW」は醸造量の拡大は目標にしていない。また、販路の拡大も考えていないという。
「だから、NAT.BREWのビールを味わって貰うには、「富山県まで足を運ぶ」、もしくは「DREAMBEERさんにオーダーする」が主な方法になります。DREAMBEERさんでNAT.BREWと出合ったことがきっかけとなって、全国から私たちの地元まで遊びに来て貰えたら、それほど嬉しいことはありません。クラフトビールを介して、たくさんの方々とつながっていけることを期待しています」

年間28.8klの生産が可能。現在はMAXで醸造中
「NAT.BREW」ができたことで、富山県南砺市にクラフトビール文化が少しずつ根付きはじめている

望月さんが「KUMA MASSIGURA」「HEYHEYHOO」と合わせたいフード

「KUMA MASSIGURA」は、干し柿を使用したヘイジーIPA。苦味は控えめで、フルーティーな香りと干し柿由来の甘味とコクが特徴です。味の濃い肉料理やスパイスカレーと相性がよいです。「HEYHEYHOO」は、クロモジを使用したペールエール。しっかりとした苦味と、クロモジ由来の柑橘系の香りが特徴です。個人的には中華料理と合わせるのがおすすめ。ぜひ試してみてください。

DREAMBEERで取り扱っている銘柄

◆ KUMA MASSIGURA

◆ HEY HEY HOO