日本のブルワリー探訪 vol.16
~丹後王国ブルワリー~
現在、日本全国から250以上の銘柄を皆様にお届けしているDREAMBEER。その中でも長きに亘り日本のクラフトビールシーンに貢献してきたブルワリーにスポットを当て、各々がビールづくりで大切にしている考え方を中心にご紹介します。第16回は、京都府京丹後市の「丹後王国ブルワリー」です。
豊かな食文化を育む丹後の魅力を発信中。丹後王国ブルワリー
昔から山海の幸に恵まれ、国の登録無形文化財「京料理」の一端を担ってきた「丹後地方」。絹織物産地としても栄え、人と物の交流が盛んだったことから、料理旅館や料亭なども多く、豊かな食文化を育んできた地域でもある。
この地で「京都府農業公園丹後の郷」がビール造りを始めたのは1997年のこと。
2015年からは「丹後王国ブルワリー」が事業を引き継ぎ、「何度でも飲みたくなる、食事と合わせやすいビール」を追求している。
代表の中川正樹さんが教えてくれた。
「弊社は地域商社として、クラフトビールを通じて丹後の魅力を広く発信すること、丹後の豊かな食材を多くの人に知って貰い、お届けすることを目標にしています。『全国の食卓を笑顔にし、全国各地を元気にしていく』がコンセプトです」
中川さんは元々岡山県出身とのことだが、住めば住むほどに丹後が好きになると微笑む。
人に感動を与えたい
生まれも育ちも丹後だという醸造責任者の山口道生さんは、20年以上のキャリアを持つ熟練職人だ。確かな技術と真摯な姿勢で、ファンを生み続けている。
欠かせないものとして多くの人の生活に浸透していく穏やかなビールを造ることが信条という。
「ドイツ製の設備を20年以上使い続けています。特徴的なのは、仕込釜が味わいにまろやかさをもたらしてくれる銅製であることと、発酵タンクが酵母にストレスを与えにくい解放型になっていること。オートメーション化はしていません。クラフト感のある丹後王国ブルワリーらしい仕上がりをお楽しみいただけたらと思っています」
ビール造りを始めた頃は3銘柄のみだったラインナップも、現在では12銘柄まで増えている。
中川さんは言う。
「味わいと品質の向上を目指し、長年果てしない試行錯誤を重ねてきた山口がよく口にする言葉があります。『本当においしいと納得できるビールを醸造できた時の嬉しさはこの上ない』。彼が決して手を抜かない理由です。いつもベストを尽くして、お客様に感動を与えたいとの思いがあります。ラインナップが充実し、表現の幅が広がったことで、ますますビール造りに意欲を燃やしています」
ブルワー仲間からも「好き」と言って貰えることが嬉しい
現在、DREAMBEERに提供しているのは、「ジャパン・グレートビア・アワーズ」で金賞と銅賞に輝いたことのある「ヴァイツェン」と、「インターナショナル・ビアカップ」「ジャパン・グレートビア・アワーズ」で銅賞に輝いたことのある「マイスター(ピルスナー)」。
「ヴァイツェン」は、酵母由来のバナナのような香りをしっかりと立たせ、飲む人を魅了できるよう細かな改良を繰り返した自信作。「好き」と言ってくれるブルワー仲間も多いとのことで、プロにもファンの多いおいしさだ。
「マイスター」は副原料に丹後産コシヒカリを使用し、まろやかかつすっきりとした味わいに仕上げたフラッグシップ。「DREAMBEERさんとご縁をいただけ、丹後が米の名産地であることも広く知って貰えのではないかと期待しています」と中川さん。ちなみに丹後産コシヒカリは、ツヤ・粘り・甘味の強さが特徴だ。
丹後王国ブルワリーは今後、「地方を元気にできるクラフトビール職人の育成」にも力を入れていくとのこと。既に昨年からその取り組みを開始しており、3名が卒業。今年も何名かを受け入れる予定だという。
「4~5ヵ月を掛けてビール造りをしっかりと学んで貰うのはもちろん、地方創生や地域課題を解決していくソーシャルアントレプレナーとして活躍できる人材の育成を目指しています。卒業生たちと一緒に全国を元気にしていきたいです」
ビール造りと人材づくりで丹後を、京都を、日本を盛り上げていこうという「丹後王国ブルワリー」の精力的な活動に注目し続けたい。
中川さんと山口さんが「ヴァイツェン」「マイスター」と合わせたいフード
苦味が少なく口当たり柔らか、そしてフルーティーな香りが特徴の「ヴァイツェン」は、複雑な風味に魅せられるスパイスカレーがとてもマッチします。互いの深い味わいが響き合います。
まろやかですっきりクリアな味わいが特徴の「マイスター」は和食、特に刺身や焼き魚などの魚料理と合わせるのがおすすめです。ひと口ごとに口の中を爽やかにしてくれ、料理の繊細な味わいを存分に堪能できます。
DREAMBEERで取り扱っている銘柄
◆ ヴァイツェン
◆ マイスター