フラッグシップビールができるまで vol.1
～月夜野クラフトビール～

Princess March RONA

現在、日本全国から100以上の銘柄を皆様にお届けしているDREAMBEER。醸造家（ブルワー）の方々に、DREAMBEERで扱っているビールの開発秘話を伺います。第1回目は、群馬県みなかみ町にある「月夜野クラフトビール」の「Princess March RONA」です。

月夜野クラフトビール

みなかみ町は群馬県の最北端、新潟県の県境に位置する町だ。「利根川源流の町」として知られており、「月夜野クラフトビール」は「美味しいみなかみの水を使ってビールをつくる」ことを目的に、上越クリスタル硝子株式会社が設立した。

ビールづくりにあたっては、みなかみ町（当時の月夜野町）と姉妹都市だったチェコのウヘルスキーブロット町に協力を求め、チェコのビール醸造設備を導入して1997年に醸造を開始。群馬県産の麦と、ブルワリー（醸造所）の東に位置する三峰山の井戸水を使って仕込む“地ビール”をつくり続けている。

ビール醸造の責任者であるヘッドブルワーは、齋藤季之さん。1993年にキリンビールから「ブラウマイスター」が発売されたタイミングで雑誌に掲載されていた「ドイツのブラウマイスターとドイツのブルワー育成制度」の特集を読み、ビール醸造に興味を持ったという。2001年にはドイツへ渡り、現地のブルワリーで12年経験を積んだ。

イチゴ酵母の特徴を最大限に活かした“地ビール”

「Princess March RONA」は、群馬県で開発されたブランド苺「やよいひめ」から採取された酵母を使ったビールであり、県内産麦芽を100％使った「オール群馬県産」の“地ビール”でもある。イチゴそのものを副原料として使っているわけではないにもかかわらず、イチゴを思わせる香りと麦芽の柔らかな甘味、そして飲んだ後に感じるほのかな渋味が印象的なビールだ。

やよいひめの酵母は、前橋工科大学が採取したものだ。群馬県産業技術センターより「この酵母でビールをつくれないか」との問い合わせが月夜野クラフトビールにあり、ビール醸造にチャレンジした。定番ビールよりも麦芽を多く使い、アロマホップを8種類ブレンド。苦味を抑えることで、イチゴの香りを際立たせるよう工夫している。

「やよいひめの酵母をパンや日本酒造りに活用しようとしたものの、うまく行かなかったことは事前に聞いていました。実際に仕込んでみると、確かに発酵力は弱いのですが、長い時間動き続ける酵母であることがわかりました。ですから、発酵期間に通常のビールの3倍時間をかけることで完成に至っています」（齋藤さん）

「Princess March」は「やよいひめ」の英名、そして「RONA」は齋藤さんの奥様の名前だ。「ビールが出来上がって妻が試飲したときに、とても喜んでくれたのを覚えています」と齋藤さんは振り返る。

群馬県の産・官・学を連携させたこのビールは、クラフトビールアソシエーションが主催する「ジャパン・グレートビア・アワード 2019」で金賞を、国際ビール審査会「オーストラリアン・インターナショナル・ビア・アワード 2021」では銅賞を授賞した。

しかしながら、齋藤さんにとってこのビールは「いまだに完成していない」なという。「一仕込み一仕込み少しずつ改良して成長していますが、初出荷の時は早く飲んだ方々の感想を聞きたいと思っていました。その感想を基に改良して、現在に至ります。『Princess March RONA』は、まだまだ成長できるビールだと思っています」。

齋藤季之さんが
Princess March RONAに合わせたいフード

木綿豆腐にオリーブオイルと多めの塩をかけ、混ぜます。そのまま10分ほど置いておくと味が慣れて塩っ気も丸くなります。それをスプーンでちびちび舐めながら飲むのがおすすめです。

月夜野クラフトビールをDREAMBEERで購入

■ 月夜野クラフトビール Princess March RONA
https://dreambeer.jp/ec/beer/detail/110

■ 月夜野クラフトビール ホタルの里の黒ビール
https://dreambeer.jp/ec/beer/detail/111