フラッグシップビールができるまで vol.11
~MIROC BEER~
現在、日本全国から100以上の銘柄を皆様にお届けしているDREAMBEER。ブルワリーの方々に、DREAMBEERで扱っているビールの開発秘話を伺います。第11回目は、「MIROC BREWERY」の「MIROC BEER阿字観」です。
MIROC BEER
香川県の中西部、丸亀市にある。「丸亀城」をシンボルとする同市は、全国生産量の9割を誇る「丸亀うちわ」や造船業を中心として発展している。「MIROC BEER」は2017年に設立された「MIROC BREWERY」でつくられており、ブルワリー併設のタップルームで楽しむことができる。
MIROC BREWERYを立ち上げたのは、 代表兼醸造責任者の岩城知明さん。20代の頃は造船業にエンジニアとして携わっており、30代は好きなことで身を立てようと、ウイスキーの修行のために馴染みのバーに転職した。そこで扱っていた世界中のビールの多様性に魅せられ、当時は丸亀になかったブリューパブ開業を見据えてビールづくりを志すようになる。
「MIROC BREWERY」の名称は、トリプルミーニングから成り立っている。まずは「弥勒菩薩」。「弥勒菩薩は、善も悪も区別せず、すべての衆生を救う存在。バーでの修行時代、ビールはハードリカーに比べて誰もがカジュアルに楽しめる飲み物だと思いましたし、自分も幅広い視点でビールをつくりたいと考えています」と岩城さんは語る。
そして小規模醸造の「マイクロ(MICRO)ブルワリー」。さらに後ろの2文字を読み替えると「ミリョク(魅力)」となる。「小規模なブルワリーであることを“魅力”としたかった。また、丸亀という地域を前面に押し出すというよりは、全世界を照準に入れて短くインパクトを持つネーミングにしました」(岩城さん)。 岩城さんは世界を見据えながら、日本文化を反映させたビールづくりを心がけている。たとえば、香川の名産品である讃岐うどんを使った「旋風」は「UDON IPA」と称したヘイジーIPAだ。丸亀に隣接する三豊市のうどん店「本格手打ちうどん もり」のうどん60玉を仕込みに使っており、ホップによる柑橘系の香りと柔らかな口当たりが印象に残る。また、日本の生活文化を支えてきた麻の実を使った「ヘンプIPA」の「麻麦」は、ベリー系の果物を思わせる香りが特徴で、後味にはヘンプナッツの風味がほのかに漂う。
“金色の美酒”を追い求めて
DREAMBEERで提供している「MIROC BEER 阿字観」は、ホップの香りと苦味をしっかり効かせたラガービール「IPL」だ。イギリス産の麦芽「マリスオッター」、ドイツ産のアロマホップ「マンダリアバーバリア」「ハラタウ」を使っている。「阿字観」とは空海がつくった瞑想法の名称。「ニルヴァーナ」「ブラフマン」など、仏教用語を基にしたバンド名からヒントを得たこともあり、「アジアン カンフー ジェネレーション(略称:アジカン)」の存在が決め手になった。
レシピは、ファントムブルワーである「Hobo Brewing」の川村洋平さんと考えたという。川村さんはブリティッシュエールを好むことから、古いヨーロッパのつくり方でありながらも新しさを出そうと、アメリカ発祥の「IPL」を選んだ。
「最初につくったときはまだ醸造施設に慣れていないこともあって、『濾過した麦汁、まだ濁ってるけど大丈夫?』と不安で不安で…。でも最終的にはキラッキラに輝く透明な仕上がりになりました。飲んでみたら想像していたよりも上手くできたと感じて、ホッとしたのを覚えています」。
つくり始めの頃は酸化しているバッチがあったり、ホップの投入タイミングに依るものと思われる液体の濁りが認められたりもした。マリスオッターが入手できない状況も少なくないため、他のエールモルトやピルスナーモルトでも醸造し、麦芽を変えることでビールのキャラクターがどう変化するかを勉強し続けている。 「僕が考える“理想の阿字観”は、透明な金色に輝く液体で口に含むとガツンとホップの苦味を感じるビール。ホップの香りはアメリカンホップのような柑橘系ではないけれど、ホップの存在感をしっかり感じさせる華やかなものです。しっかりコクを感じるけれど、後味はドライ。まさに“金色の美酒”ですよ」。
岩城知明さんがMIROC BEER 阿字観に合わせたいフード
フィッシュアンドチップスやフライドポテトなどの揚げ物。刺し身や煮魚もおすすめです。ハマチ、タイ、コチ、カサゴ、メバル、マナガツオ、タコ…。丸亀でとれる魚を味わいにいらしてください。
MIROC BEER をDREAMBEERで購入
■MIROC BEER 阿字観
https://dreambeer.jp/ec/beer/detail/184
■MIROC BEER 般若
https://dreambeer.jp/ec/beer/detail/185