新規参画インタビュー vol.03
~GARCIA BREWING~

現在、日本全国から100以上の銘柄を皆様にお届けしているDREAMBEER。その中でもひときわ輝くブルワリーの成り立ちや、DREAMBEERで新たに扱い始めたビールのご紹介をします。第3回目は、静岡県静岡市の「GRCIA BREWING」(GRCIA BREWING株式会社)です。

GARCIA BREWING

「GARCIA BREWING(ガルシア ブリューイング)」は、ペルーの首都・リマ出身のフレディ・ガルシアさんが代表を務めるブルワリーだ。日本でも指折りの景勝地「三保の松原」で有名な静岡市清水区の三保地区で、2019年より醸造を開始した。ブルワリーは、兄のジャン・ガルシアさん営むチーズ工房「Garcia Cheese(ガルシア チーズ)」と同じ場所にある。

GARCIA BREWINGは2020年に、清水区三保に新工場を設立、2022年にはカンニングマシンを導入している

フレディさんは、出稼ぎのために来日した兄を頼り、2004年に静岡市にやってきた。建築や食品関連などの工場勤務などさまざまな職に従事した後、2011年には兄とともにチーズ工房「JF食品工業(現 ガルシア チーズ)」を創業する。

そんなフレディさんが、クラフトビールに開眼したのは2007年のことだ。同じ静岡県内の沼津にある「ベアードタップルーム 沼津フィッシュマーケット」でベアードビールに出合って衝撃を受けたという。

「初めて飲んだのは『ライジングサン ペールエール』だったと記憶しています。ほかにも小麦を使った『ウィートキング ウィット』など、いろんな種類を飲みました。『こんな世界があるんだ!』と驚いたし、いつか自分でもつくってみたいと強く思いました。

当時は工場に勤務しながら自分や家族のために兄とチーズ作りをしていた時期です。大工の心得もあったし、料理も得意だったのでバーもつくれるなと。もともとものづくりが好きで、工場設立にも興味を持っていました」(フレディさん)

2010年にはペルーに帰って地元のブリューパブで修行を積んだ。チーズ工房設立に時間を割いた後、2016年4月にペルー料理とチーズを提供する「Bar Fiesta Garcia(現FIESTA GARCIA)」を静岡市葵区にオープン。まずは、ビールを提供する場所を整えた格好だ。酒類等醸造免許(発泡酒)を2019年8月に取得、念願のビール醸造を開始した。

「FIESTA GARCIA」は、「ガルシアさん家のパーティ」という意味。Garcia Cheeseやペルー料理とともにGARCIA BREWINGのビールが楽しめる

すべてのビールにキヌアで奥行きをもたせる

現在、定番ビールはDREAMBEERでも提供している「BUENAVISTA日本平」「清水ラガー」を含めた5種類を用意する。最大の特徴は、GARCIA BREWINGでつくるすべてのビールに、スーパーフードとして名高い植物「キヌア」が使われていることだ。

「GARCIA BREWINGのビールに何か特徴を持たせたいと考えた時に思いついたのが、栄養豊富なキヌア。母親がキヌアを使った料理が得意で、幼い頃から朝食や昼食でよく食べており、なじみがありました。

GARCIA BREWINGでつくられるすべてのビールにキヌア(写真中央)が使われている

キヌアは、マッシングの段階で麦芽とともに投入します。キヌアのタンパク質がビールの味わいに豊かさを与えてくれるので、アルコール度数が高くないビールでも飲みごたえのある仕上がりになります」

フレディさんが目指す理想のビールとは、麦芽の甘味を素直に引き出した「料理に寄り添う」もの。度数が高すぎたり、ホップの苦味やキャラクターを前面に出したり、乳糖などを加えたビールづくりは考えていない。

「たとえば『BUENAVISTA日本平』をつくるにあたってイメージしたのは、『バス ペールエール』。穏やかな麦芽の甘味と香ばしさ、苦味、酸味のバランスが絶妙だと思います。

「チーズもビールも、両方とも生き物なので扱いが繊細です。両方とも、温度管理を何よりも大切にしています」とフレディさんは語る

自分はどんな原材料を使おうかと考えた時に、ペールモルトとイーストケントゴールディングスホップを主体にしました。私は苦味が好きなので、ビタリング用にアメリカンホップを少々。そしてキヌアで、味わいに奥行きを与えられたのではないかと思います」

ビールのキャラクターが突出しすぎないビールづくりは、フレディさんが得意とするペルー料理とのペアリングを考えていることも関係している。スペインの植民地時代やイタリア、フランスとの貿易、多くの中国人労働者が在住していた歴史から、ペルーにはさまざまな国の食文化が流れ込んできた。

「パエリア、パスタ、中華料理など、ペルーでは一般家庭で普通に食べていますし、これらの技術を応用した料理も盛んです。ペルー料理の全体的な特徴としては、酸味を加えることが多いですね。たとえば、タマネギとトマトを醤油とワインヴィネガーで炒めたりします。コリアンダーを使った肉の煮込みのようにスパイスを使うこともありますが、全体的に辛味はほとんどありません」

ペルーでは魚介類をマリネしてライムをふりかけた「セビーチェ」もよく食べられる。GARCIA BREWINGを自宅で楽しむ際には、ぜひペルーを意識した料理とともに楽しみたい。

GARCIA BREWINGの醸造施設は、1200ℓの仕込釜と同容量の発酵タンクが6本、貯酒タンクを1本そろえる

フレディ ガルシアさんが
BUENAVISTA日本平に合わせたいフード

イタリアンやフレンチ全般が合わせやすいと思います。生ハムをおつまみにしてもいいですね。チーズならば、パルメジャーノ、カマンベール、ブリーなどがおすすめです。

GARCIA BREWINGをDREAMBEERで購入

■ BUENAVISTA日本平

■ 清水ラガー