新規参画インタビュー vol.06
~丹後篠山 旅路のブルワリー~

現在、日本全国から100以上の銘柄を皆様にお届けしているDREAMBEER。その中でもひときわ輝くブルワリーの成り立ちや、DREAMBEERで新たに扱い始めたビールのご紹介をします。第6回目は、兵庫県丹波篠山市の「丹後篠山 旅路のブルワリー」です。

丹後篠山 旅路のブルワリー

「丹後篠山 旅路のブルワリー(以下、旅路のブルワリー)」があるのは、丹波篠山市の福住地区。江戸時代には宿場町として栄えた場所で、現在は国指定保存地区となっている歴史あるエリアだ。

同ブルワリーを運営するのは、株式会社NOTE JAPAN。「なつかしくて、あたらしい、日本の暮らしをつくる。」をコンセプトに、「NIPPPONIA」ブランドとして歴史的な建築物の活用を中心に地域の暮らしや文化を継承するまちづくり事業を展開。現在、全国30箇所以上のエリアで宿泊施設企画・運営、コンサルティングなども行っている。

旅路のブルワリーも地域活性化を目指して設立されており、醸造所は築130年の古民家が活用されている。同社にとっては初めてのブルワリー運営だが、なぜクラフトビール事業に着目したのだろうか。

明治時代前期に建てられた築130年の古民家をリノベーションしてブルワリーを立ち上げた。敷地内にはビールの貯蔵に使っている蔵もある

「福住は宿場町で人が行き交うエリアだったこともあり、飲食店もそこかしこにありました。そのため、そこで提供するための酒づくりも盛んだったのです。残念ながら現在は酒蔵がだいぶ減ってしまいましたが、街の活気を取り戻すために当時盛んにつくられていた酒づくりをしたいと考えました」と、ブルワーを務める江川良平さんは語る。多くの人に飲んでもらうために、居酒屋や自宅での晩酌などで日本人の日常により密着したビールに注目したという。

「蔵」での熟成がビールに丸みを与える

旅路のブルワリーの定番は、「ペールエール」「ピルスナー」「ヴァイツェン」「スタウト」の4種類だ。

「ビールは、地域の特色を生かすものをつくりやすい。クラフトビールを飲んだことのない方にも入り口になれるようなビールをつくりたいですね」と江川さん。この言葉は、同ブルワリーの定番にも現れていた。

たとえば、ペールエールは「モザイク」「アマリロ」「シムコー」といったアメリカンホップを使うことで柑橘系の豊かな香りを加えながらも、苦味は少々抑え目にすることを心がけた。また、ピルスナーは福住産の米を使うことでスッキリとした味わいに仕上げ、スタウトは近隣の人気コーヒー店が特別焙煎した水出しコーヒーを仕込みに使用している。

さらにユニークなのは、ビールづくりに同ブルワリー敷地内にある「蔵」を活用している点だ。蔵は外気温の影響を受けにくく、室内は常に20℃前後をキープしているという。猛暑日は瓦屋根を冷やしたり、朝夕石畳に水をまいたりすることで温度を保つ。

旅路のブルワリーの醸造施設は、500ℓの仕込釜と1000ℓの発酵タンクを6本揃える

具体的には、主発酵が終わったビールを樽やボトルに移し替えて蔵で貯酒工程(熟成・後発酵)を施す。最低で2週間、ピルスナーは約1ヶ月だ。

「最初はすべてをステンレスタンクで完結していたのですが、蔵でビールを熟成させたものを飲んでみたところ、口あたりが丸くなっていることに気が付きました」と江川さん。特にピルスナーとスタウトは泡がより細かくなり、全体のまとまりがよくなったと感じている。現在、蔵でのビール熟成期間によってどんな変化が生じるかを観察している最中だ。

「現時点で半年、9ヶ月、1年以上のピルスナーがあります。チェコのピルスナーが数年の熟成を経て完成度を高めているように、うちのビールも蔵の中でどう進化していくのか、楽しみにしているところなんです」(江川さん)。 蔵の中で静かに深みを増していくビールとはどんなものか。旅路のブルワリーのビールには、時の経過によって加わる変化と進化を歴史ある宿場町の街並みの中で楽しみたいと、定期的に訪れたくなる魅力にあふれている。

「旅路のブルワリーのビールを目当てに福住に来てくれたり、滞在してもらえたりするきっかけになってくれればうれしいですね」と、ブルワーを務める江川さん

江川良平さんがペールエールに合わせたいフード

福住は「丹波鶏」に代表される地鶏が美味しい地域です。丹波鶏の唐揚げや日本酒を使った蒸し鶏に山椒を合わせてもいいですね。キュウリやトマトなどのみずみずしい夏野菜との相性もいいので、マリネとも楽しんでほしいと思います。

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