“パブめし”ペアリング
ビール王国41号より転載
文:野田幾子
写真:津久井耀平
ビールと料理がお互いのおいしさを引き立て、その味わいを高め合うのがペアリングの魅力。それぞれに
個性が光る名店のテクニックを伝授。“ビアパブ直伝”とっておきのペアリングを特別公開!
国内産クラフトビール × 創作料理
食事とビールが互いに歩み寄る新しい食体験
暁タップス 銀座
東京・銀座の数寄屋橋通り沿いにある「暁タップス 銀座」は、黒漆喰と格子の引き戸
が美しい。中に入るとすぐ、アイアンアートの照明に目を奪われた。
「インテリアは、外観も含めてロッジを意識しているんですよ」、と店長の佐藤和哉さん。確かに、年輪を活かした大小様々な丸太の輪切りが印象的な壁などもログハウスを思い起こさせる。初来訪の人も落ち着ける空間だ。
暁タップス 銀座は、2016年に東京都世田谷区で誕生し、現在は岩手・八幡平にメインの醸造施設を構える「暁ブルワリー」直営のレストラン。「東北ロースト」をコンセプトに、三陸の牡蠣や魚介、東北の畜産品を中心に扱い、東北の食の魅力を発信する店としての役割も担う。
暁ブルワリーは、日本で初めて「有機JAS」を取得したオーガニックビール専門醸造所でもある。もちろん暁タップスで使う食材もオーガニックがメインだ。
岩手山をはじめとした山の恵み、三陸の海の恵みあふれる滋味深い料理が、暁ブルワリーのビールと融合する……。懐かしくも新しい日本の食文化をぜひ体験してほしい。
スパイスとフルーツの華やぎに吹く一陣の風
ドラゴンアイ “スノー” × オレンジのスパイスマリネと生ハム
暁ブルワリーのビールは総じて口当たりが柔らかく、苦味が穏やか。これは食事と合わせることを念頭にビールが設計されているからだという。
オーガニックペールエール「ドラゴンアイ“ スノー”」も、柑橘系の香りの後に麦芽の甘味が優しく口の中で広がっていく。こちらと合わせたいのが
「オレンジのスパイスマリネと生ハム」。オーガニックのスパイスとフルーツを使った一品だ。
今回はみかんを八幡平で採取した蜂蜜を使ったマリネ液に漬け込んでいる。カルダモンやシナモンなどスパイスの香りが華やかで、生ハムの塩気が甘味を引き立てた。そこに一陣の風のようにドラゴンアイ “スノー”が清涼感を加え、爽やかに去っていった。
暁タップス 銀座
Recipe !
ホップの苦味が強調するしょっつる出汁の旨味
ドラゴンアイ “マグマ” × しょっつる出汁のアヒージョ
● 材料(2人分)
<出汁>
水……100cc
粉末出汁……5g
みりん……大さじ2
酒……大さじ2
しょっつる……大さじ1
オリーブオイル……30g
ニンニクみじん切り……小さじ2
鷹の爪……1本(半分に折って種は除く)
<具材>
マッシュルーム……5、6個
スライスしたタコ……約50g
ミニトマト……5、6個
● つくり方
1 出汁を作っておく
2 鉄鍋にオリーブオイルを入れ、みじん切りにしたニンニクを入れて香りが立つまで炒める
3 2に鷹の爪を入れ、オイルになじませる
4 出汁の素を加え、よく混ぜてひと煮立ちさせる
5 具材(マッシュルーム、タコ、ミニトマト)を入れる
6 蓋をして3分ほど中火にかける
7 蓋を開け、スライスしたバゲットを添えて出来上がり
ここがPoint!