新規参画インタビュー vol.13
~希望の丘醸造所~

現在、日本全国から200以上の銘柄を皆様にお届けしているDREAMBEER。その中でもひときわ輝くブルワリーの成り立ちや、DREAMBEERで新たに扱い始めたビールのご紹介をします。第13回は、宮城県岩沼市の「希望の丘醸造所」です。

希望が湧いてくるビール造りを目指す。希望の丘醸造所

 牛たん専門店として全国展開し、人気を博している「利久」が、地元宮城への感謝の気持ちを形にするため、2022年に立ち上げたのが「希望の丘醸造所」だ。
 ブルワリーのネーミングは、東日本大震災からの復興を祈念して岩沼市に設置された「千年希望の丘」にあやかっている。
 コンセプトは、宮城県産の食材を積極的に副原料として活用すること。また、利久らしく牛たんにマッチする味わいを追求すること。
 ヘッドブルワーの大平洋介さんが教えてくれた。
「クーレット(DREAMBEERに提供)に使用しているゆずや、岩沼市の特産品であるポポーをはじめ、ぶどうやブルーベリー、米など扱っている原料は多岐にわたります。何杯でも飲みたくなるドリンカブルな仕上がりを目指しています」

温故知新、切磋琢磨のビール造り

 ビールには長い歴史がある。だから、伝統に重きを置く姿勢はとても大切だ。
 その一方で、クラフトビアシーンの新たな潮流や技術をいち早くキャッチし、挑戦してみる柔軟な姿勢も重要だと大平さん。
「特に今は、移り変わりの早い時代ですから刺激的です。麦汁のつくり方やホップの使い方、麦芽粕や煮沸によって凝固したタンパク質の取り除き方、発酵時の温度管理の仕方などについて様々な新しいアイデアが情報として入ってきます。ブレない軸をしっかりと持ちながら、トライ&エラーを繰り返し、自分たちらしさを出していきたいです」
 挑戦を続けるかぎり、あなたにできないことはない――。
 学生時代から世界史に興味を持ち、学んでいる大平さんの好きな言葉だ。アレクサンダー大王(紀元前に南東ヨーロッパから西インドまで広がる巨大な帝国を築いた歴史の中で最も成功した軍事司令官)の名言だという。
熱い気持ちでビール造りと向き合っていることが伝わってくる。

大学時代はドイツ文化を学ぶゼミに所属し、卒業論文は「ドイツビール」をテーマにしたというヘッドブルワーの大平さん。ホッピーな味わいに偏り過ぎない、モルトの香りや味わいを大切にしたビール造りが信条とのこと

「希望の丘醸造所」では、大平さんがヘッドブルワーを務め、全体を管理しているが、こと実際のビール造りに関しては銘柄ごとにメインの醸造担当を据え、各自が責任を持って味わいと品質をブラッシュアップしていく、という体制をとっている。
「ワントップだと、視点や考え方が凝り固まってしまう可能性があります。各々が強い関心を持っているビアスタイルを担当し、学びや気づきや発見を常に全員で共有して、皆で成長していきたいと考えています」
 醸造スタッフは5名。大平さんはドイツの伝統的なビール造りをリスペクトしており、猪又さんはアメリカンなクラフトビールが好み、今野さんはベルギービール愛に溢れ、近藤さんはアメリカンからベルジャンに興味が拡大中、吉田さんはすべてのビールを愛している、とのこと。
「ちなみにDREAMBEERさんに提供させて貰っている『クーレット(セゾン)』と『ザ・スペンサー(ウエストコーストIPA)』は、吉田が担当です。ホップの選び方や投入のタイミング、繊細な温度管理、副原料の使い方にセンスを感じる、味わいにそれが活きているといつも感心させられるブルワーです。同僚の意欲作をぜひ味わってみてほしいです」と大平さん。

醸造スタッフは5名。情報交換を密に図り、常に味わいと品質のブラッシュアップに努めている。左から吉田さん、大平さん、猪又さん、近藤さん、今野さん

「お客様の笑顔がモチベーションです」

 喜ばしいことに、ブルワリーの開業以来、生産が追い付かないほどの多忙な状況が続いているという。だからこそ、普段から気を引き締めて全員で取り組んでいることがある。
 清掃の徹底だ。
「基本の基といえる作業ですが、高いレベルで徹底するのは容易なことではありません。けれどもそれを積み重ねていかねば、お客様にご満足いただけるビールはできません」
 今年(2024年)の2月に嬉しいことがあった。
 ビールイベントでとてもたくさんの人が、「おいしい」と直接伝えに来てくれたのだ。
「本当に感激でした。職業病ともいえる腰痛まで癒されました(笑)。お客様たちの笑顔を見ることが私たちの何よりの喜び。もっともっと魅力的なビールを造っていきたいです」

清掃の行き届いた清潔なブルワリー内。年間の生産可能醸造量は、およそ100~110kl。現在最も力を入れているのは、ビールの溶存酸素のコントロールと大平さん。賞味期限をより長くすることが目的だ

大平さんが「クーレット」「ザ・スペンサー」と合わせたいフード

「インターナショナル・ビアカップ2022」で「Japan Origin カテゴリーチャンピオン」を頂戴した「クーレット」は、セゾン酵母由来の芳醇でスパイシーな香りとゆずのフレッシュさが特徴のビール。牛たんはもちろんのこと、魚介料理とのペアリングも最高です。個人的にはアクアパッツァと合わせてみてほしいです。豊かな味わいがクーレットによって引き立ちます。「インターナショナル・ビアカップ2022」で銅賞を頂戴した「ザ・スペンサー」の特徴はジューシー、かつホッピーな味わい。「牛たんみそ焼き」や「ビーフシチュー」との相性が抜群です。交互に味わうと互いの魅力がいっそう際立ちます。

DREAMBEERで取り扱っている銘柄

クーレット

ザ・スペンサー