スマホでビール撮影、基礎講座

ビール王国27号から転載

取材:編集部 写真:志田裕也

自宅でうまくビールの写真が撮りたい。でもやっぱり高価なカメラが必要? いいえそんなことはありません。スマホだってバッチリおいしそうなビールの写真が撮れるんです。スマホ撮影のコツを、小誌で撮影を担当しているフォトグラファーの志田裕也さんに聞き、実践していただきました。

ポイント0
撮影の前に

・グラスがきれいかどうかをチェック。ほこりや汚れはビールに気泡ができてしまう。

・ビールや料理を置くテーブルに余計なものがあれば片付けよう。

・スマホのカメラのレンズを拭いておこう。

・基本的に、明るい時間の自然光のみがおすすめ。部屋の電気も消して、窓からの光を利用しよう。

ポイント1
ビールを撮るときは後ろや横から光を入れる

ビールおよびドリンク全般は、正面から光を当てて撮ると液体が暗くなってしまい、せっかくの質感や色が伝わらない。グラスのサイドや斜め後ろから光が入るように置いて、液体を光が透過するように意識すると、グッと写真が良くなる。

ポイント2
ボトルや料理は光を反射させて明るくする

逆光やサイド光でビールはきれいに写るが、横にボトルを置くと、ボトル自体が暗くなってしまう。その場合は光を反射させる白い板(レフ板)を使って、光を手前からボトルに返してみよう。それだけでラベルがはっきりと見えるようになるはずだ。「レフ板でなくとも、白いハンカチやふきん、マットやボードなどで代用できます」(志田さん)。

ポイント3 
ビールをゆがませないために「ズーム」

スマホのカメラレンズは「広角レンズ」のため、近いものはより近く、遠いものはより遠くに写ってしまう(「パースがつく」とも言われる)。これを避けるためにカメラマンは望遠レンズを使うが、スマホにはついていないことがほとんどなので、画面上でズームをして擬似的な望遠レンズのように使うのがポイントだ。ズームをすると画質がやや低くなるが、スマホ画面で見るだけならそれほど問題ない。

ズームのバーを+側にスライドして拡大し、パースがつかないように工夫

ポイント4
構図・配置・角度


ビールと料理を絡ませた写真の場合、45 度の角度(着座時の視線)から斜めに撮るのが基本。お皿に対してビールが斜め後ろにくるように配置すると決まりやすい。タテ位置、ヨコ位置、正方形のバリエーションがこちら。「画面に全部入れようとするとおかしくなるときは、あえてお皿の一部をカットするのもいいですね」(志田さん)。真上から撮る俯瞰の写真は、ビールがよくわからないものに見えてしまうので避けたい。

ポイント5
料理の質感に気を使う

料理もまた、逆光やサイド光のほうが質感が伝わりやすい。ソーセージやステーキような肉の脂がのった料理は、脂がハイライトになる光のポイントがあるので、盛りつけや配置を工夫してみよう。上記のサラダの場合もトマトをテラテラとさせることでみずみずしさが伝わる。こうすると料理がよりおいしそうに見える。

スマホには「露出補正」の機能がある。撮影時の画面が暗いなと思ったら、この機能で明るくするのも手だ

志田さんかひとこと

窓の近くにテーブルを持っていって撮るのがおすすめです。ビールと料理は、グラスとお皿の高さがかなり違うので、そこが撮影の難しいところ。いろいろ組み合わせを工夫して、素敵なビールの写真を撮ってみてください。