アメリカンクラフトとの“テッパン”ペアリング、ハンバーガーを深掘りする
ここ数年「グルメバーガー」や「ご当地バーガー」が人気を博し、ファストフードからイメージチェンジを果たした感のあるハンバーガー。脂の旨味と赤身のコクが絶妙にブレンドされたパテ、ふわっとした食感のバンズ、そしてトマトやチーズ、ピクルス、時にはアボカドのようなフルーツでトッピングすれば、その味わいは無限に広がります。世界中で人々を魅了してやまないわけですね。
そんなハンバーガーの誕生は1904年に開催された「セントルイス万国博覧会」の会場で売り出されたと言われています。日本では、1950年代に米軍基地周辺の飲食店からお目見えしましたが、72年に銀座にマクドナルドが登場し、爆発的に広まりました。
その出自、マクドナルドをはじめとするチェーン店により提供されたことにより、ファストフードの代名詞的存在となっていましたが、前述した通り昨今は「グルメバーガー」が花盛り。とりわけ、ビールファンの注目がにわかに集まっているのが横須賀ビールで提供されている「ヨコスカネイビーバーガー」です。
横須賀ビールは約5年前に創業したばかりですが、早くもさまざまなビールコンテストで受賞を果たす注目のブルワリー。1階がブルワリーとタップルーム、2階がビアレストランとなっています。
ヨコスカネイビーバーガー、元々は米国海軍内で楽しまれていたハンバーガーのレシピを基地と横須賀市の友好の象徴として提供され、そのレシピを忠実に再現できる市内の飲食店に譲渡しているそうです。言わば、市を挙げての「ご当地グルメバーガー」なのだ。 「牛肉100%で170g以上のパテ、という食材そのものレシピを厳守することはもちろん、認定してもらうに際し、キッチンの設備やスタッフのスキルなどを実際に横須賀市の職員さんが来店し確認されていきました」とは、横須賀ビールの醸造長兼店長の鈴木啓弘さん。
同店ではパテは市内で明治43年創業から続く老舗精肉店松坂屋に、パンズはこれまた大正15年創業という法塔ベーカリーにそれぞれ試作を繰り返した専用のものを作ってもらい仕入れているとのこと。
「元々、弊社は地元の食材を使った飲食店が母体ですので、可能な限り地元の生産者、地元の専門店とコラボすること前提にしています」(鈴木さん)
さすが専門店のパテ脂と赤身の完璧なバランス
果して、運ばれてきた「ヨコスカネイビーバーガー」は、写真のように大迫力。
「まずはそのまま、肉のうまさを味わってください」と鈴木さんのアドバイスに従い、バーガー袋で包み、顎が外れるくらい口を大きく開き、がぶりと行きました。口の中に広がる肉のうまさにうっとり。塩、コショウのシンプルな味付けの直球勝負のパテは、脂と赤身のバランスが絶妙で、ほどよく甘い肉汁と赤身の旨味が堪能できます。ケチャップとマスタードも添えられていますが、それらで味変するのも確かに楽しみではありますが、今回はパテ自体のうまさに圧倒され、取材を忘れ一気にマジ食いしてしまいました。
内側を丁寧に焼いた、しっとり、ふんわりのバンズも◎。専門店のコラボの理由が、よーくわかります。また、自店で焙煎したというきなこを衣にまぶしたフライドポテトのカリカリの食感は、そうそうお目にかかれるものではありません。このハンバーガーの名脇役として、その存在感をしっかり示しています。
新進気鋭のブルワリーが、本気で作ったハンバーガー、ぜひ一度堪能してください。
本格パテもコツさえつかめば自宅で作れます
DREAMBEERのラインナップするアメリカンクラフトにハンバーガーを合せるのであれば、グルメバーガーのテイクアウトもいいですが、せっかくなので、本格的なビール100%の本格パテを作ってみませんか? パテは、基本的にハンバーグのように玉ネギを刻んだり、ソースを作ったりする必要がないので、コツさえつかめば実は思いのほか簡単にできるのです。そのコツは3つ。
①塩こしょうで下味をしっかりつける。
ステーキのように、パテを焼く際に両面に塩こしょうをふる、というレシピもありますが、塩は下味以外につなぎの役割も果たしますので、整形する際や焼く際に破れたり崩れたりしにくくなります。
②へら等で混ぜ合わせる。
手でひき肉に直接触れると体温で脂が溶け出し、焼いた際に硬くなってしまいます。へらで叩くように混ぜ合わせれば、空気も抜けるので整形作業がらくちんです。
③香りづけ、旨味づけにビールで蒸す
ハンバーグのように厚くないパテは蒸さずに焼き上げるレシピもありますが、しっとり、ふっくら仕上げるにはやはり蒸し焼きがベスト。その際、ペアリングするビールを使えば、合わせた時に響き合うことうけ合いです。
他には整形する際は一気に丸く、薄く広げようとせず面倒でも軽く、そしてちょっとずつ手で叩きながら形を整えるようにしてください。一気にやろうととすると割れたり崩れたりして、結局時間がかかります。急がば回れ、です。
さらにプロ並みのパテを目指すのであれば、ステーキ肉(格安品で充分)をご自身で細かく刻んで、いわゆる粗びき肉で作ってみてください。その肉々しさに驚かれるはずです。