イギリスの国民食「フィッシュ&チップス」を極める

19世紀のロンドンで誕生

 「イギリスの名物料理は?」と100人に聞いて、もっとも多くの人が「フィッシュ&チップス」と答えるに違いありません。日本のビアパブやビアレストランにも、かなりの確率でメニューに載っていることでしょう。フワッ、サクッの独特の食感の衣とタラの優しい旨味が相まって、世界中にファンを持つ料理です。

 そんなフィッシュ&チップス」の歴史は19世紀の中頃ロンドンで誕生しました。当時のロンドンは産業革命の真っただ中で、街中に労働者が溢れていました。そんな彼らが、安価で栄養があり、そして短時間で食べられるようにと考案されたと言われています。タラは高タンパク質低カロリーでありながら、代謝を促進するために欠かせない赤血球をつくる素になるビタミンB12を多く含んでいる、じゃがいもは食物繊維とビタミンCが豊富。つまり栄養のバランスも兼ね備えていたのです。

進化し続けるフィッシュ&チップス

 現在、ロンドンでは1万店を超えるフィッシュ&チップスの専門店があると言われています。そして、その多くで魚種を選べるようになっています。一般的なタラの他にエイやカレイの白身魚の他、サーモンやエビがメニューに載っている店も少なくありません。さらには、ここ数年の間に開店した専門店の中には、衣を従来のベーキングパウダーと小麦粉ではなくパン粉に替えたり、中には揚げるのではなく「ソテー」するフィッシュ&チップスも登場しているようです。

 一方日本ではというと、メニューに「フィッシュ&チップス」とあるだけで、魚種の明示はほとんどありませんでしたが、昨今のクラフトビールの人気によって、フィッシュ&チップスにひと工夫凝らす店が増えてきました。昨年、丸の内テラスにオープンした「THE UPPER」もそうした店のひとつです。同店で提供されるのは「きびなごのフィッシュアンドチップス」。きびなごの、独特のほろ苦さがホップの苦さと響き合う、驚きのフィッシュ&チップスです。

 他にも、春には稚鮎、夏には太刀魚、秋にはハモ──、といったように季節ごとの旬の魚を使い分ける店も、決して多くはないですが登場し始めています。

丸の内テラスにあるTHE UPPERでは『きびなごのフィッシュアンドチップス』(1,600円)を提供している
THE UPPER
東京都千代田区丸の内1-3-4 丸の内テラス9F 10F
☎03-5962-9909
営 11:30~23:00
休 月曜日

フィッシュ&チップスの相棒

 フィッシュ&チップスの相棒と言えば、やはりイギリス発祥のペールエールを思い浮かべる方も多いでしょう。それはもちろん正解なのですが、付け合わせも大切な相棒です。

 その筆頭が「モルトビネガー」。イギリスでは、まさに“泳ぐ”ほど、ジャバジャバとかけて食べます。原料がモルト同士ゆえ、ビールとの相性も悪いはずがありません。

 そして、日本では馴染が薄いかもしれませんが、本場では「マッシーピー」と呼ばれるグリーンピースを茹でて砕いた(マッシュした)ものが定番です。ミントやディルを香りづけに使う店もあります。他に、「グレービーソース」や日本でもお馴染みの「タルタルソース」も人気の相棒です。

フィッシュ&チップの相棒たち。左からモルトビネガー、タルタルソース、マッシュピー、そしてペールエール(奥)。ペールエールは揚げ衣にもお使いください。他にスタウトやポーターもおすすめです

家庭での“おつまみ”には一口大がおすすめ

 最後に、家庭でフィッシュ&チップスをつくる際のポイントをご紹介します。まずは魚種。これは、前述した通り名前に捉われず、好きな魚、さらには甲殻類や貝類などでさまざまなシーフードで楽しんでください。おおよそ、フライやてんぷらで食すものであれば、なんでもOK。具体的には魚であればサーモンやアジ、メカジキ、アユ、ワカサギ、エビやイカ、そしてホタテ等がおすすめです。

 もうひとつが大きさ。専門店では、大きな切り身で出されるが、それではナイフとフォークを使わなければならず、宅飲みではもう少し気軽に食べたい。ゆえに、ひと口大に予めカットした方がよろしいかと。小さめにカットすることで、火の入り方のムラも防げるし、調理時間も短くて済みます。なので、エビやホタテなどは大きく立派なものではなく、むしろパクパク食べられる小ぶりのものを選びましょう。

魚種はお好みで選びましょう。すしネタやフライでも人気のサーモン(上)、そしてパクパク食べるおつまみとしてはうってつけのエビ (下)

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