フラッグシップビールができるまで vol.6
~Derailleur Brew Works~
現在、日本全国から100以上の銘柄を皆様にお届けしているDREAMBEER。ブルワリーの方々に、DREAMBEERで扱っているビールの開発秘話を伺います。第6回目は、「Derailleur Brew Works(ディレイラブリューワークス)」の「西成ライオットエール」です。
Derailleur Brew Works
「Derailleur Brew Works」(以下、ディレイラ)は、大阪府大阪市の西成地区にあるブルワリーだ。運営するのは、高齢者の介護や障碍者の就労支援を手掛ける株式会社シクロ。西成地区は「朝からお酒が飲める街」として知られ、現在も昭和の風情が色濃く残る。
“ディレイラ”とは、フランス語で「道を外す者=生き方を自分で選ぶ者」の意味。世間一般の常識や決まった一本道にとらわれることなく、自由な発想とマインドでのビールづくりが信条だ。
ビールのラインアップは、「アメリカンIPA」に代表される伝統的な醸造法を踏襲したものから「ミックスジュースIPA」のような変わり種まで、実に多岐に渡る。ビールの銘柄ひとつひとつに独自の世界観とオリジナルストーリーを持たせており、それは缶に施されたアートワークとしても表現されている。
同社がクラフトビール事業に参入したのは、同社代表を務める山﨑昌宜さんが、就労支援の利用者たちと酒を酌み交わす席で言われた言葉がきっかけだ。
「単純な仕事ではなく、もっとやる気になれる仕事がしたい」
「酒のことなら本気出す、いくらでも売ったる」
その言葉を受け、山﨑さんがラベルだけを自社製作したビールを800本仕入れたところ、皆は張り切ってあっという間に売り切った。「ならば、自分たちでビールを造ればもっと誇りが持てるはず」と、醸造所の設立を決意。2018年4月にクラフトビールづくりを開始した。
カラメルモルトの甘味で表す「郷愁」
ディレイラを立ち上げてから最初につくったビールが、「西成ライオットエール」。「センテニアル」と「チヌーク」というアメリカンホップを使った、クラシカルなアメリカンペールエールだ。
カラメルモルトによる香ばしさと甘味の中から、アメリカンホップの柑橘を思わせる香りが漂う。「飲んでいる皆が、酒を酌み交わしながら仲良く笑いあえる」ことをイメージしてつくられた。
西成ライオットエールをつくるにあたり、初期のレシピは同じ大阪市内のブルワリー「MARCA」のオーナーブルワー、神谷みずきさんに協力を依頼している。ビールのイメージを表すキーワードとして、「ドリンカブル」「ノスタルジー」「オールドアメリカン」を挙げた。
「味わいの方向性を固めようと、当時働いていた就労支援のメンバー全員、20名弱に試飲してもらいました。おそらくエール系ビールが初めての人ばかりだったために、『とにかく飲めたら何でも美味い』という雰囲気になってしまったのには参った(笑)」
ほかにも、いわゆるクラフトビールを好んで飲む層とは異なる人々にも試飲してもらっている。ビールファン以外の評価も大切にしているためだ。ホームレスが集まる公園にも出向いて振る舞い酒をし、反応を伺ってみた。
「複数の人から『懐かしい』という言葉が出てきたのが印象深いですね。モルトの甘味がそう感じさせたのでしょうか。しかし同時に『無料だったら美味い』とも。小売価格を言うと『そんな高いのいらん』とはっきり拒否されたのを覚えています」
多くの人からフィードバックをもらったことを踏まえ、レシピに修正を加えていった。現在は自社ブルワーが細やかな調整を重ね、着々と進化を遂げている最中だ。 「最終的には、ビールが視界に入らない人たちの視界に、我々ディレイラのビールが入るようにしたい。コストパフォーマンスを大事に思う層へ届けるにはどうすればいいか。それが消費の本質だと思うので、これからも逃げたくはありません」
山﨑昌宜さんが西成ライオットエールに合わせたいフード
七味をたっぷりふりかけたどて焼き。ほかには、クミン、花山椒、唐辛子などをかけて焼いた羊肉のスペアリブなど。大阪ぽいなあと思います。また、ソースはとてもスパイシーなものだと思うので、たこ焼きやお好み焼きもいいですね。ソースはドロ系でも、地場のソースでも。
ディレイラブリューワークスをDREAMBEERで購入
■ ディレイラブリューワークス 西成ライオットエール
https://dreambeer.jp/ec/beer/detail/167
■ ディレイラブリューワークス NIGHT RIDER ROUTE26
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