新規参画インタビュー vol.04
~HIROSHIMA NEIGHBORLY BREWING~

現在、日本全国から100以上の銘柄を皆様にお届けしているDREAMBEER。その中でもひときわ輝くブルワリーの成り立ちや、DREAMBEERで新たに扱い始めたビールのご紹介をします。第4回目は、広島県広島市の「HIROSHIMA NEIGHBORLY BREWING」(株式会社カナデル)です。

HIROSHIMA NEIGHBORLY BREWING

JR広島駅からバスで約10分。「HIROSHIMA NEIGHBORLY BREWING(ヒロシマネイバリーブルーイング、以下HNB)」は、「広島平和記念公園」の東側、元安橋から本通りに入ってすぐのところにある。パブ居酒屋「Craft beerと炭火『はればれ』」が併設されており、オリジナルビールが焼き鳥や炭火焼きとともに楽しめるようになっている。

「Craft beer と炭火『はればれ』」は、1階と1.5階に分かれている。1階はタップが並ぶカウンターメインのブリューパブ、2階はテーブル席メインで和モダンな居酒屋だ。醸造設備は、1階に発酵・熟成タンク、2階にブルーハウスがある
「はればれ」では、焼き鳥や炭火料理を中心に、フィッシュ&チップスやバーガーなどのパブメニュー、スイーツまで、スタイリッシュな醸造設備を眺めながら楽しめる

株式会社カナデルの福本貴志さん・成美さん夫妻が手掛けたHNBの設立は2020年8月。醸造所には500ℓの仕込釜に同容量の発酵・熟成タンク8基をそなえ、広島市内にあるブルワリーの中では最大の醸造規模を誇る。

「ブルワリー設立を考えた際、気軽に普段からクラフトビールを楽しんでもらえるように、広島の中心部でやりたいと考えました」と、成美さんは設立当時を振り返る。「HNBのクラフトビールが広島の新しい魅力になれたらうれしいですね。そのビールを介して新たなコミュニティや賑わいが生まれたり、広島へ足を運んでもらうきっかけになったりするなど、広島の街の活気につなげていきたいと思っています」(成美さん)

醸造所では、500ℓの仕込釜に同容量の発酵・熟成タンク8基を備える

もともと福本さん夫妻は、広島市内に世界のビールを扱うビアバー「GOLDEN GARDEN」を2007年から、国産クラフトビール専門店「RAKU BEER」を2011年から運営している。さらには、2008年から2017年まで毎年開催してきたビールイベント「地ビールフェスタ in ひろしま」の主催者でもある。

ビールイベントには中国・山陰地方のブルワリーのほかに、国内トップレベルの高い醸造技術を持つブルワリーも数多く出店。福本さん夫妻は多くのブルワリーと交流を深め、広島からクラフトビール文化を盛り上げようと長きに渡り尽力してきた。

福本貴志さん(左)と成美さん。貴志さんはオーストラリアでクラフトビールに出合い、帰国後ビアバーを開店。成美さんは企業の商品企画部勤務などを経て現職。プランニングやブランディングに携わる

HNBでビール醸造を担当するのは、ワーソップ・カールさん。ブルワーを志してからは和歌山県の「ナギサビール」で約2年半ビールづくりに携わる。さらには、高いクオリティのヴァイツェンをつくる「大山Gビール」や、HNBと同じく飲食店経営からブルワリーに参入した「うしとらブルワリー」でブルワリー研修を受けるなどして、ビール醸造の腕を磨いていった。

ヘッドブルワーのワーソップ・カールさん。アメリカ・ノースカロライナ州出身で、大学時代広島に留学したことで広島に縁ができた。「レシピの組み立てや醸造中の温度調整、醸造器具の洗浄にいたるまで、細かいところに気を配って丁寧にビールをつくります」(成美さん)

地域産業・企業を巻き込む新しい取り組みへ

HNBの定番は、DREAMBEERでも提供している「広島日の出ラガー」「レモブル GO HIROSHIMA」のほか、「本通り ウエストサイド クラシック IPA」「ニカラグアコーヒースタウト」など5種類。それに加えて月に1、2種類の限定ビールを。どんなスタイルでもHNBのビールづくりに共通するのは、「何度でも飲んでみたいと思ってもらえるビール」──つまりドリンカビリティの高いビールを目指すことだという。

そのことを意識しながら最初につくったビールが、広島日の出ラガーだ。広島・瀬戸内の朝焼けを表現した褐色のラガーで、色を表現するために淡色の麦芽に加えてアンバー麦芽を使用。さらに副原料として、広島県の御調町や安芸高田市産の麦茶、北広島町産のウッドチップを、季節に応じて変えながら使っている。

その上で、HNBが特に意識しているのは地域性だ。

「長きにわたってクラフトビールを扱う店舗を運営したり、ビールイベントを開催したりしてきたことを通して、クラフトビールのおもしろさは多種多様であることを心から実感しています。そんな中で自分たちがつくるのは“広島の”クラフトビール。ですから、できるだけ広島県の素材を使用し、いろんな方が楽しめるビールをつくりたいですね」

その言葉どおりHNBでは、三次市の里山にある「農縁たねまき」の「霧里(きりり)しょうが」を使用した「ミスティ ジンジャーペールエール」、三原市久井町産のハーブを生かした「ミントホワイトエール」、尾道市瀬戸田産の無農薬レモン果汁と皮を使った「HIROSHIMAレモンスカッとセッションIPA」のように、広島県産の素材を使うことを心がける。

ハーブ農家の「梶谷農園」や、皮まで食べられるレモンやネーブルを栽培する尾道・生口島の「citrusfarms たてみち屋」など、独自の農法を駆使して農作物の質を高め、直販している農家との付き合いも多い。

県内の企業とは、別の形での連携も行っている。たとえば、世界に誇るウィスキーやジンをつくる廿日市市の蒸溜所「SAKURO BREWERY & DISTILLERY」のシングルモルトウイスキーの樽で10ヶ月熟成したインペリアルスタウトを2022年8月に発売、即完売した。

「広島県には、日本酒の蔵やワイナリーなどもたくさんあります。県内のワイナリーや酒蔵も一緒に、自分たちが使った樽を巡らせる “バレルリレー”──『HIROSHIMA BARREL RELAY PROJECT』を始めました。そんな形で広島のクラフト酒業界をより盛り上げていけるのも面白いですよね」

2007年にビールの魅力を伝え楽しさを広めようと始めた「GOLDEN GARDEN」から始まって、現在は広島の地域産業・地域企業を巻き込みながらビールを通じた新しい試みにチャレンジし続けるHNB。これにより、HNBがつくるビール自体がどう進化していくのか、今後も注目していきたい。

福本成美さんが広島日の出ラガーに合わせたいフード

「はればれ」のメニューでいうと、「牛すき肉豆腐」と「広島・熟成高宮鶏の焼き鳥丼」。醤油ベースの甘辛い味付けのお肉と一緒にどうぞ。

HIROSHIMA NEIGHBORLY BREWING を DREAMBEERで購入

■ 広島日の出ラガー

■ レモブル GO HIROSHIMA