日本のブルワリー探訪 vol.07
~大雪地ビール~

現在、日本全国から100以上の銘柄を皆様にお届けしているDREAMBEER。その中でも長きにわたり日本のクラフトビールシーンに貢献してきたブルワリーにスポットを当て、各々がビールづくりで大切にしている考え方を中心にご紹介します。第7回は、北海道旭川市の「大雪地ビール」です。

北海道の豊かな自然と、郷土を愛する心が育む、大雪地ビール

 地域の発展を目的に、「大雪地ビール」が創業したのは1996年のこと。
 以来、旭川産および北海道産の原材料を積極的に使用したビール造りで、根強いファンを生んでいる。
 流行りのビアスタイルに容易に手を出すのではなく、あくまでも自分たちが造りたいビール、造るべきビールを熟慮し、郷土愛を表現するのが大雪地ビールの変わらぬ姿勢だ。
 数々のビールコンテストでも優秀な成績を収めており、DREAMBEERにも「おいしかったです!」との喜びのコメントが数多く寄せられている。

 そんな人気ブルワリーの4代目ヘッドブルワーとして、高木ドルフ里樹さんが就任したのは、2023年の春のこと。
「有言実行の男です」とは、先代のヘッドブルワーであり、現醸造部工場長の山崎俊至さんだ。「バイタリティがあって、何事にも前向きな姿勢で取り組むことができ、失敗を恐れないチャレンジ精神に溢れています。とても期待しています」。
 高木さんは言う。「私はブルワーになって7年目ですが、決して手を抜くことなく、黙々と作業に集中する山崎さんの背中を見て、職人仕事の何たるかを学ばせて貰いました。品質と味わいの向上に努め、これまで以上に注目していただけるビール造りに取り組んでいきたいと思っています」

シドニー最古のパブ「ロード・ネルソン」でクラフトビールの魅力に痺れ、ブルワーを志すようになったというヘッドブルワーの高木ドルフ里樹さん

遠く離れてみて気づいた、北海道、そして旭川の魅力

 高木さんはおよそ10年間、飲食やウエディングに関わるサービス業に従事していた経歴を持つ。「この業界で生きていくのなら」「もっと自分の仕事を突き詰めていくのなら」と“大海”を目指す。20代半ばの頃に東京、その後にはワーキングホリデーを利用してオーストラリアはシドニーにも身を置き、サービスを提供するという仕事の本質を極めていく。
「様々な経験を積み、自分を磨きたかったのです」と高木さん。
 一流の仕事に触れ、学び、世界の広さを知り、意欲的な日々を送る中で、大切なことにも気付くことができたという。
それは、「生まれ育った北海道の素晴らしさ」だった――。
「自分にとってあまりにも身近なものだったため、意識したことがなかったのです。外に飛び出してみて、初めて地元に対する誇りや郷土愛を感じるようになりました。美しい景色や豊かな自然、恵まれた食材の数々、温かい人々。気が付けば、地元の魅力を世界に発信したいとの気持ちが強くなっていました」
 大雪地ビールへの就職は、高木さんにとってまさに「望むべき道」だったのだ。

地元とのつながりを大切に、挑戦を続けたい

 北海道で誠実に農作物を育てている生産者の方々とのつながりを、何よりも大切にしている。それがおいしいだけではない、安心で安全なビールを提供することにもつながっていくと考えている。
 旭川市東鷹栖町で収穫されるビール大麦「りょうふう」は、DREAMBEERに提供している「大雪地ビール 大雪ピルスナー」や「大雪地ビール 富良野大麦」をはじめ、「レギュラービールすべての原料の一部に使用しています」と高木さん。「富良野大麦」には、その名の通り富良野産の大麦も使っているとのこと(ちなみに他にも銘柄によって下川町産や美瑛産の小麦なども用いている)。
「近隣の農家さんが製麦の技術を持っていらっしゃり、力を貸してくださるからこそ、私たちは地元の大麦や小麦を活かせています。感謝しかありません」

レギュラービール全てに使用している、旭川市東鷹栖町産のビール大麦「りょうふう」
糖化温度を繊細にコントロールすることで、夏は軽やかに、冬はややボディが感じられるようにビールを仕上げているという。テイスティングに集中する高木さん

オートメーション化を図らず、アナログな手作業によって、感覚を研ぎ澄まし、知識と技術と経験を総動員して、日々ビール醸造に臨んでいる。
「クラフトビールの魅力は喉越しだけではない、色を愛で、香りを楽しみ、その味に酔いしれる――。『一杯で幸せな気分になれる』、そんな味わいを追求していきます」
 現在は糖化温度やDO値(ビールに溶けている酸素濃度)等をよりシビアに管理しており、雑味のない本来の旨さを引き立てるビール造りをしている。
 実は大きな夢がある。
 2年に一度アメリカで開催される世界最大級のビールコンテスト「ワールドビアカップ」に、「大雪地ビール 大雪ピルスナー」を出品し、金賞を手にしたい。「時間は掛かるかも知れませんが、挑戦し続けたいと思っています」
 山崎さんの言葉を思い出す。高木さんは、有言実行の男。
 大雪地ビールの名が世界に轟く日を、期待せずにはいられない。

明治時代に建てられた国指定の有形文化財でもあるレンガ造りの倉庫を改装して「大雪地ビール」は生まれた。レストランでは出来立てのフレッシュなビールとジンギスカンをはじめ、地場の食材をふんだんに使った料理を堪能できる

高木さんが「大雪地ビール 大雪ピルスナー」「大雪地ビール 富良野大麦」と合わせたいフード

厳選モルト100%で仕込んだ、大雪地ビールを代表するビール「大雪地ビール 大雪ピルスナー」は、キレのある爽快な喉越しと程よいボディが特徴で、唐揚げと合わせるのがおすすめです。
ゴールデンエールをベースに富良野産の大麦を使って仕上げた「大雪地ビール 富良野大麦」は、ホップの爽やかな香りと麦の甘味を楽しめる、苦味の少ないビール。塩味の効いたポテトフライと相性がよいです。

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大雪ピルスナー

富良野大麦