フラッグシップビールができるまで vol.4
~ウッドミルブルワリー・京都~
現在、日本全国から100以上の銘柄を皆様にお届けしているDREAMBEER。ブルワリーの方々に、DREAMBEERで扱っているビールの開発秘話を伺います。第4回目は、「ウッドミルブルワリー・京都」の「はっさくホワイト」です。
ウッドミルブルワリー・京都
「ウッドミルブルワリー・京都」は、京都府京都市上京区挽木町(ひきぎちょう)にあるブルワリー。ブルワリー名は、地名にちなんで「木(ウッド)」と「挽く(ミル)」から名付けた。京都で生まれ育ち、もとは京友禅染に関わる仕事に就いていた辻本大和さんが2018年に開業した。
同社のビールは、口当たりが柔らかく味わいに品がある。「京都は特に食文化が充実しています。京料理、お茶、お菓子などの文化が古くから受け継がれる中、きちんと歴史を踏まえ、伝統を乱すことのないビールが求められていると私は考えています」と辻本さんは語る。
定番は、小麦麦芽と柑橘のはっさくを使った「はっさくホワイト」、麦芽の芳醇な風味にホップの苦味が絡み合う「ペールエール」、雑味がなくスッキリとした味わいの「ゴールデンエール」、ほどよいホップの苦味が料理を引き立てる「和らぎIPA」の4種類。
いずれのビールも、「食事との調和」が念頭に置かれている。「ビールの個性だけを際立たせるのではなく、『ビールと料理それぞれが引き立て合い、食事のひとときを豊かにするビールづくり』がコンセプトです」(辻本さん)
理想の“はっさく感”を追い求めて
ウッドミルブルワリー・京都を代表する銘柄が、日本原産の柑橘であるはっさくをまるごと使った、はっさくホワイトだ。はっさくの香りがふわっと漂い、柔らかな酸味と爽やかな甘味のバランスが心地よい。
もともと「ヒューガルデン ホワイト」を飲んでクラフトビールに目覚めたという辻本さんは、ベルジャンホワイトのスタイルを「京都らしく」つくれないかと考えた。
たとえば、ベルジャンホワイトがオレンジピールを使っているところを京都産の柑橘にする。はっさくの他にも夏みかんや他の柑橘で試作してみたが、はっさくは他の柑橘を使った際に感じた酸味が和らぎ、とげとげしさがなくなっていた。また、言葉の響きには京都・祇園の伝統行事「八朔(はっさく)」を思わせる“京都らしい”インパクトも持ち合わせている。
国内産の果物を使ったホワイトビールをつくるにあたり、レシピの相談も含めて力を貸してくれたのが、鹿児島県にある城山ブルワリーの醸造責任者、倉掛智之さんだ。鹿児島の特産である桜島小みかんの皮を使用した「ベルギーホワイト(桜島小みかん)」をつくった倉掛さんに、大いに薫陶を受けた。
「最初に出来上がったはっさくホワイトを飲んだ時、率直に『わ、旨い!』と感じました(笑)。私が狙っていた味わいに果てしなく近い仕上がりになったことが、本当にうれしかった。はっさくは、そのまま食べると特に皮に渋味や苦味を感じますが、ビールにするとそれらが目立たなくなることを、とても興味深く感じました」(辻本さん)
京都・三条商店街で開催されていた「地ビール祭京都」にも出店を果たし、好評を得ていたはっさくホワイト。しかし、コロナ禍でビールイベントは中止となり、各料理店の営業自粛はウッドミルブルワリー・京都にも少なからず影響を及ぼした。
図らずも時間ができたことで、辻本さんは各々のビールの醸造工程を再点検した。はっさくホワイトに関していえば、発酵温度を見直して、より厳密に管理するようになった。バナナのようなエステル香をコントロールすることではっさくの香りが引き立つことがわかったのだ。また、発酵期間を従来よりも長くすることで、ビールを形づくるそれぞれの味わいや香りが馴染み、よりまとまりのある仕上がりになったという。
「コロナ禍によって不安なまま時を過ごしていましたが、ビールを改良できた貴重な時間にできたと思っています。今ではビールにはっさくを使うブルワリーがたくさんありますが、はっさくホワイトでは自分にとって理想の“はっさく感”が出せるよう、これからも改良を重ねていくつもりです」(辻本さん)
辻本大和さんがはっさくホワイトに合わせたいフード
ミカンやレモンなどの柑橘を使っているサラダとの組み合わせがおすすめです。お醤油との相性もいいので、お刺身とわさび醤油とともに召し上がってください。
ウッドミルブルワリー・京都をDREAMBEERで購入
■ ウッドミルブルワリー・京都 はっさくホワイト
https://dreambeer.jp/ec/beer/detail/169
■ ウッドミルブルワリー・京都 和らぎIPA
https://dreambeer.jp/ec/beer/detail/170