日本のブルワリー探訪 vol.05
~さがみビール~
現在、日本全国から100以上の銘柄を皆様にお届けしているDREAMBEER。その中でも長きに渡り日本のクラフトビールシーンに貢献してきたブルワリーにスポットを当て、各々がビールづくりで大切にしている考え方を中心にご紹介します。第5回は、神奈川県厚木市七沢の「さがみビール」です。
創業205年の老舗造り酒屋が手掛ける、さがみビール
酒は文化なり。
地域に根差し、地域と共に育んでいくもの――。
「さがみビール」を手掛ける「黄金井酒造」が大切にしている考えだ。
ゆえに地元の水を仕込み水に使い、地元産の原料を積極的に取り入れ、地域の人々の声を聞き、酒造りに反映させる。
リリースされる「さがみビール」の約8割が、厚木市を中心とした神奈川県内で消費されている。地元に愛されているのだ。
「東丹沢山麓のふもとに位置する厚木市七沢の豊かな自然の恩恵を受けながら、奇を衒(てら)わない実直なビール造りを続けています」と専務の黄金井陽介さん。
「黄金井酒造」がビール造りを始めたのは、創業180年を迎えた1998年。
「記念すべき節目の年に新しいことにチャレンジしよう」との情熱がきっかけだった。
敷地内の井戸から汲み上げて使用している仕込み水は、「水源の森100選」にも選ばれる東丹沢山麓の伏流水。適度なミネラルを含みビールの発酵を助け、喉ごしのよいスッキリ爽やかな味わいに仕上がるとのこと。
「何杯でも飲みたくなる、それが私たちの目指すビールです」
雑味のない豊かな麦の風味を楽しんでほしい
「おいしく飲んで貰うために自分たちができることは全部したい」との思いがある。
ビール造りにおける麦汁のろ過工程において、最初に流れ出る一番搾り麦汁のみを使用するのも、熱による殺菌や酵母のろ過を一切しないのも、麦の豊かな風味や深いコクを存分に味わって貰いたいからに他ならない。
香りや苦味を少し控えめに仕上げるのは、「料理と合わせやすいように」との配慮から。
「長年食中酒としてご堪能いただくための日本酒を手掛けていることから、ビール造りにも同じ考え方で臨んでいます。ビアスタイルによって合わせる料理を変えてみる、ぜひ、そんな楽しみ方をしてみてください」
DREAMBEERへ提供するビールに、ラインナップの中から「さがみビール ケルシュ」と「さがみビール ヴァイツェン」を選んだのには「理由があります」と黄金井さん。
「ドイツのケルン地方で伝統的に醸造されているケルシュは、日本のビアシーンにまだまだ浸透していない珍しいビアスタイル。クラフトビールの魅力のひとつである種類の多彩さを、知っていただくきっかけになればと考えました」
また、キャラクターが強くないので異味異臭を感知しやすく、誤魔化しが効かないのがケルシュ。黄金井酒造の高度な醸造技術を実感できるビールであることも、ビアファンにとっては嬉しいポイントだ。
ヴァイツェンは、原料の一部に地元・厚木産の小麦を使用しており、黄金井酒造の考えや姿勢を分かりやすく具現化できているビールだから。
「苦味が少ないので、ビールが苦手という初心者の方にも飲みやすいのではないかと思います。豊かな風味をぜひお楽しみください」
これまでは地産地消に重きを置いてきたが、今後はDREAMBEERへの提供を通じて県外の人々にも「さがみビール」を知って貰い、ブルワリーのある厚木市七沢に遊びに来て貰えるきっかけになれば嬉しいと黄金井さん。
「七沢には温泉や森林公園、地元の生鮮食品や加工品が販売されているマルシェ(七沢温泉 食の市)など観光施設がたくさんあります。地元の人々と協力し合いながら、地域活性化にいっそう貢献していきたいと考えています」
いつか厚木市七沢でモルトやホップを栽培し、それを使ったクラフトビールを手掛けてみるのも夢とのこと。黄金井酒造の躍進が今後も楽しみだ。
黄金井さんが「さがみビール ケルシュ」「さがみビール ヴァイツェン」と合わせたいフード
黄金色で華やかな香りとすっきりとした飲み口、切れ味が特徴の「さがみビール ケルシュ」は幅広い料理に合いますが、塩や胡椒を効かせたポテトフライが特におすすめです。
苦味が少なく、フルーティーなエステル香があり、柔らかな口当たり、きめ細かな泡立ちが特徴の「さがみビール ヴァイツェン」は、柑橘に入っているクエン酸(酸味)との相性がよいので、レモンをかけた唐揚げや焼き鳥塩などとの相性がよいです。
DREAMBEERで購入
◆ ケルシュ
◆ ヴァイツェン