200以上のクラフトビールの銘柄を家にいながら楽しめるビールサーバー 「DREAMBEER」に新ブルワリーが続々登場!
ビール王国44号から転載
文:並河真吾
全国各地の個性豊かなクラフトビールを味わえる会員制ビール配送サービス「DREAMBEER」のラインナップがますます充実中だ。家飲みでも格別の一杯を楽しみたいビアファンにとってこれほど嬉しいことはない。新たに加わった意欲溢れる気鋭のブルワリーを紹介したい。
ISHINOMAKI HOP WORKS
石巻から感謝の気持ちを込めて。恩返しとなる最高の一杯を
「2011年の東日本大震災以来、全国各地より『Yエ ールELL』を貰っている宮城県石巻市から、今度は風に乗せて『Aエ ールLE』をお返ししたい」。そんな思いで被災した土地を利用し、栽培したホップを原料の一部に使ってビールを醸造しているのが、「ISHINOMAKI HOPWORKS」だ。たった数株の苗から始まった栽培だが、今では夏の収穫の時期になると5メートルを超えるホップのグリーンカーテンが農場いっぱいにできるという。
ヘッドブルワーは醸造に関する深い知識と確かな技術、豊富な経験を持つ岡恭平さんが務めている。「『ISHINOMAKI HOPWORKS』のホップ栽培は、震災によって社会的弱者になってしまった人たちの就労支援につながればという想いからスタートしたものです。宮城県出身の私にとって、ここでビール造りに取り組むことは、大きな意義があるに違いないと考えました」。
原料のポテンシャルを最大限まで引き出せるブルワーになりたい――。岡さんの目標だ。特に思い入れの強いホップに関しては、石巻産の品質のよさを広く発信していきたいとの思いがある。「たくさんの仲間たちと力を合わせ、心を込めてビールを造っています。ぜひ一度、味わってみてください」




いずれもホップを魅力的に活かした、ボディにキレのあるライトな仕上がり
HOPDOG BREWING
ビールの味わいに秋田の風土を感じて貰いたい
2022年の「HOPDOG BREWING」の設立と、2023年からの醸造開始を喜んだビアファンは多かったに違いない。
その確かな技術力と独創的なビール造りで多くのファンを持つ「あくらビール(秋田県)」で醸造責任者を務め、国内外のビールコンテストで数々の賞を手にしてきた長谷川信さんの新たな挑戦となる独立だったからだ(長谷川さんは世界最大級のビールコンテスト「ワールドビアアワード」(イギリス)や「ワールドビアカップ」(アメリカ)でも金賞を受賞している!)
人生の半分以上を過ごしている秋田の素材を積極的に活かしたビール造りがコンセプト。「日本産ホップの一大生産地である横手市産のホップをはじめ、リンゴやラズベリー、梨、ぶどう、さくらんぼ、桃などの果実も、生産者さんたちのご協力のもとで使わせて貰っています。少子高齢化の進んでいる秋田県ですが、人の温かさ、豊かな自然がある素晴らしい土地です。多くの方々に訪れてほしいですし、次の世代に残していきたいと強く思っています」
クラフトビール造りを通して、ひとりでも多くの人の人生や食卓を豊かにしたいとの思いもある。「その意味では、DREAMBEERさんとご縁をいただけ、全国各地で味わって貰えるようになったことが嬉しいです」



いずれも横手産ホップが贅沢に使用されている「HOPDOG BREWING」の人気定番銘柄
嬬恋高原ブルワリー
地元に深く根付き、独自の味わいを追求
創業は1997 年。
以来、オーナーブルワーの黒岩修さんは四半世紀以上に亘って、心を込めてビール造りを続けている。「私は基本的に独学です。トライ&エラーを延々と繰り返しながら、味わいと品質の向上に努めてきました。おいしいと言って貰えたら本当に幸せです」
地ビールとは、何か――。15年ほど前から黒岩さんが向き合っているテーマだ。「お客様はその土地でつくるからこその魅力を求めている。とあるビールイベントで気づかされたのです。私が生まれ育った群馬県嬬恋村ならではの、当ブルワリーならではのビールを造らねばとの気持ちになりました」
黒岩さんは早速ホップの自家栽培をはじめ、近隣の農家さんに協力を仰いで大麦づくりにも着手。さらには製麦(麦を発芽させる工程)にも自ら取り組み始めた。「もちろんビール造りに必要な全ての原料を地元で賄えるわけではありません。けれど力を入れれば入れるだけ、独自性のある味わいにつながっていくと信じています」
いつか嬬恋高原ブルワリーのビールを嬬恋村の名産にしたいとの夢を持つ。情熱溢れる黒岩さんの活躍に今後も注目し続けたい。




いずれも、ホッピーな味わいの中に、麦の風味もしっかりと堪能できるおいしさが追求されている