Fruit / フルーツビールの新たなる潮流
ビール王国42号より転載
撮影:浅井 啓(p30)/後藤敦子(p33) 取材:編集部
いま、フルーツビールが賑わいを見せている。ちょっと前までは「ビールは苦いから」という方々に向けてフルーツの甘味や香りで苦さを包み込む──、といった、飲めない方のための救済策的に捉える向きが多かった。ところが、ここへきて「果実のおいしさを積極的ビールにまとわせよう」という流れができあがりつつある。ここでは、そんな潮流を起こしそうなベルギーのリンデマンス、農産物に対し独自のフィロソフィーを持つコエドブルワリー、そして全国のクラフトビールのプラットホームとして人気を博すドリームビア各社にお話しをうかがった。
家庭用ビールサーバーの雄、ドリームビアでもフルーツビールが拡充
家庭に居ながらにして、全国のクラフトブルワリーのビールが旅気分で楽しめるとあって、熱心なビールファンから注目を集めるドリームビア。4月末には取り扱い銘柄が200を超える勢いだ。そんなドリームビアでも、これまでは「スペシャリティ」として他のビアスタイルと一括りであったフルーツビールを独立させたという。フルーツビール需要の高まりについて、同社の熊山徹さんにお話をうかがった。
──フルーツビールの人気が高まってきています。
熊山 人気が高まっているという判断は難しいですが、お客様の期待感は確実に高まっていると思います。それを受けて弊社でも、「お任せパック」(予め会員に好みのビアスタイルを登録してもらい、それを元にドリームビアがビールを選定、配送するサービス)の場合、『スペシャリティ』という他のビアスタイルとひとくくりにしていましたが、この4月からは「フルーツビール」というひとつのビアスタイルとして独立させました。
── その期待感の高まりは、どのような要因があると思いますか。
熊山 世界的な潮流はわかりませんが、日本のクラフトビールに限って言えば、たとえば南信州ビールの「アップルホップ」のように、リンゴのフレッシュ果汁をふんだんに使った、いわば本格的なフルーツビールの登場があると思います。特に南信州ビールの「アップルホップ」や、道後ビールの「オレンジエール」は、季節によって、リンゴやオレンジの品種を変えるものもあります。
── まさに趣味のビール、としての楽しさがありますね。
熊山 弊社でラインナップしているフルーツビールの多くは、地元の農家さんとタッグを組んでいるケースが少なくありません。フルーツ王国として知られる福島の福島路ビールでは「桃のラガー」で使用する桃を自分たちで採取しに畑に出向いたりもしています。こうした取り組みこそ、「地ビール」、「クラフトビール」の象徴的な造り方、といえるのではないでしょうか。
── 現在のラインナップを教えてください。
熊山 フルーツビールでは8銘柄、それ以外でも果実の香りや風味の特徴があるビールが5銘柄をラインナップしています(詳細は別表)
──本日は、お忙しいところありがとうございました。
ドリームビアがラインナップするフルーツビールと果実香が特徴のビール
■ フルーツビール(8銘柄)
■ 果汁の香りがしっかりしているビール(5銘柄)