新規参画インタビュー vol.10
~CHORYO Craft Beer~

現在、日本全国から100以上の銘柄を皆様にお届けしているDREAMBEER。その中でもひときわ輝くブルワリーの成り立ちや、DREAMBEERで新たに扱い始めたビールのご紹介をします。第10回は、奈良県広陵町の「CHORYO Craft Beer」です。

CHORYO Craft Beer

奈良で日本酒を醸造する長龍酒造がビール部門として「CHORYO Craft Beer」を立ち上げるに当たり、白羽の矢を立てたのが、コエドブルワリーでブルワーを務めた樋代卓矢さんだった。2012年から7年間コエドブルワリーで経験を積んだ後、オーストラリアに渡った樋代さん。日本と同時期にクラフトビールが流行し始め、日本とは比べものにならないほど急速にシェアを伸ばしている現地のビール事情に触れた。

新型コロナウイルスが世界的に拡大し始め、身の振り方を考えていた時に長龍酒造からオファーを受け、2020年に帰国すると、話を聞きに奈良に赴いた。「奈良とのゆかりは修学旅行しかなかったくらいで、こっちに住むことになるとは考えていませんでした」と笑う。

引き受けようと思った理由は、真剣にビール造りに取り組もうという会社の誠実な姿勢が一つ。もう一つは、長龍酒造をはじめとする酒類製造のみならず、その原料となる酒米などの製造、卸、物流まで、関西を拠点に酒類に関わる幅広い事業を展開する「飯田グループ」のリソースを存分に使ってビール造りができるということだった。「それらを自由に使わせていただけると聞いて、それであればやりがいもありますし、大きな経験にもなると考えました」

自由に造っていいと言われながらも、一つ示されたコンセプトがあった。それは「もう一度飲みたいビール」。そして、飯田グループが酒造りの原料として取り扱っている米や白麹をクラフトビールに活かすことも求められた。「そのミッションは常に意識しながらビール造りをしています」と樋代さん。

醸造所。1000Lの発酵タンクが8基並ぶ

DREAMBEERで提供する「ライスラガー」は、奈良県産の米を使いそのミッションに応えてみせた同ブルワリーで現在唯一の定番銘柄。「もう一度飲みたい、というのはいろんな意味があります。日常的に飲めるドリンカブルなビールもそうですし、普段クラフトビールを飲まない方がインパクトのあるビールを飲んで、もう一度飲んでみたいという場合もありますよね。その中で、ライスラガーに関しては日常的に飲めることにフォーカスして、クラフトビールを知らない地域の人たちにもなじみやすい、飲み慣れたラガーに仕上げました」

とはいえ、大手の商品と代わり映えしないようでは価格の違いから選んでもらえる銘柄にはならない。きれいに整え過ぎずに米の柔らかさ、甘さをしっかり残し、オーストラリアでの知見を活かして南半球系のホップも取り入れ特徴を出した。飲み慣れた味わいでありながら、飲むほどに一味も二味も違いを感じさせるラガー。まさに、もう一度飲みたくなる味だ。

そのほかのラインアップは都度異なるが、焼酎や日本酒の醸造に用いられる白麹を使った「白麹セゾン」は定期的にリリースしている。「さまざまなスタイルで白麹を使ってみていますが、中でもセゾンは相性がいいと感じます。自分たちの中でも白麹の使い方はどんどん変わっているので、その時に一番いいなと思う使い方で造っています」。白麹のクエン酸がフルーツ系とも相性がいいことから、白麹セゾンをベースにしたフルーツセゾンなど、派生させながら年に数回醸している。

2022年3月、ビールの醸造所と日本酒の蔵に併設する施設「長龍ブリューパーク」がオープンした。施設内のタップルームは直接ビールを提供するだけでなく、地域との接点としてもCHORYO Craft Beerにとって重要な場になっているという。「地域の方々との関わりは大事にしたいなと思っていますし、そこでの出会いから派生する形でつながりが増えています。今後、地元の生産者や地元企業とのコラボレーションをしていければ」(樋代さん)

奈良県広陵町、長龍酒造広陵蔵の隣に開設した公園施設「長龍ブリューパーク」。平日は芝生エリアを開放している
伝統とモダンの融合をコンセプトにした建物の1階にはタップルームやショップコーナー、2階には飲食スペースを設ける

長龍酒造の代表銘柄は「吉野杉の樽酒」で、飯田グループとしても樽使いの巧みなワインやスピリッツのメーカーとつながりがある。「樽の活用を学ばせてもらって、私たちのやり方で樽酒の可能性を広げられたら面白いかなと思っています」と樋代さん。最初に声をかけてもらった通り、ビール造りに活用できるリソースは豊富にあり、地域にも多彩な資源がある。その掛け合わせでどんなビールが生まれていくのか、それを誰よりも楽しみにしているのは樋代さん自身かもしれない。

2階からの眺め。春には満開の桜が眼前に広がる

樋代 卓矢 さんがライスラガーと合わせたいフード

ラガーですのでどんな料理にもマッチしますが、柔らかい味わいが特徴でもあり、だしを味わうような日本食、薄味の煮物や肉じゃが、野菜のおひたしに合わせると米の風味や甘さを感じられ、おいしく飲めるかなと思います。

タップルームでビールを提供する樋代卓矢さん

DREAMBEERで取り扱うCHORYO Craft Beerの銘柄

■ライスラガー